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2023-09-06 13:44

関東大震災100年と各種取り組み

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 先日の9月1日で関東大震災から数えてちょうど100年目となった。この「関東大震災100年」ということは、普段の日本人の防災意識の高まりから考えても、かなり関心を呼んだことであると思う。実際に、各マスコミだけではなく、様々な場所で「関東大震災100年」のイベントや展示が行われている。9月1日には東京のキー局でいえばTBSとテレビ朝日系列で特集番組が組まれ、それ以外のニュースでも、すべての番組で出てきている。実際に日本テレビなどは112歳のおばあさん(といっては失礼なのかもしれないのですが)が出てきて、当時2歳の弟を抱えて坂を駆け上がった話をしていた。「最近になると当時の話をする友達もみんないなくなってしまって」と言っていたが、ご長寿なのは本当にめでたく素晴らしいことではあるが、当時のことを語れる友人がすくないというのは仕方がないことではないかというような気がする。このような話を聞くと、なんとなく「人間の運命」ということを考えてしまうのであるが、その時に震災で亡くなってしまった人もいるし、この年代であれば、その後の戦争などで犠牲になられた方もいるであろう。その後も様々なことがありまた病気になる方もいる。東日本大震災などもあった。その中で112歳で生きて、当時の話をしてくれるのは、何かそのような役目を持っている人なのではないかという気がしないでもない。そのような運命論を感じてしまうのは、私がオカルトが好きであるからだろうか。

 さて、そのような日本国民の関心がある関東大震災について、マスコミ各社や、それだけではなく当時の震災被害のあった各地方自治体、その地域の地方ローカルマスコミなどもあるし、新聞社なども特集をしている。それだけではなく、地震ということで各学術機関も特集しているということになる。Googleで簡単に検索してみて、それでヒットした中にはこのようなものがあった。
 学術フォーラム「関東大震災100年と防災減災科学」 日本学術会議
 「関東大震災100年」関連イベント等のご案内 東京大学
 関東大震災100年 ? 正しい知識と現代の備え 工学院大学
 【2023年度みなと区民大学】「関東大震災100年」 明治学院大学
 関東大震災100年―文豪たちの震災体験記を歴史の証言として ... 早稲田大学
 [生涯学習センター]鎌倉市大学公開講座「関東大震災100年」 鎌倉女子大学 
 関東大震災から100年 千葉市内の大学で災害企画展 千葉経済大学
 
 これは現代の人の防災意識の問題であるが、では、その復興や教訓はどのように生かされているのであろうか。まずは地震に関して言えば、「揺れているとき」と「揺れが収まった後」の二つの危機があり、それを「備える」のと、「その時にどう行動するか」ということの二つが大きな問題になる。この二つの対応をしっかりと分けて語れる人は少ない。実際に「揺れているときに何をするか」「揺れが収まった場合に、何をすべきか」「津波や土砂崩れなどを予想する場所にいる場合」や「倒壊が予想される建物にいる場合」など様々な場合分けを考えて、その行動をしっかりと行わなければならないということになる。その辺を体系的に考えるということは十分にあるのではないかという気がするが、さすがにこの内容をしっかりと学ばなければならないのであるが、日本人というのは「お金をかけて、何かを買えばそれで安心してしまう」というような状況になってしまっている人が少なくない。そのように考えれば、しっかりと揺れているときにどのような対応をとるか、どこに逃げるのかなども考えておく必要があるのではないか。

 次に火災や津波といった「関連災害」である。火災は、起こさないようにしても現代の場合はおきてしまう。まずは火の元を確認する必要があるが、実際には、ガスなどは震度5以上になると自動的に止まる構造になっている。しかし、電機はなかなか大きな問題で、漏電による火災が非常に多い。特に、医療機器などがある場合は、電気を切ることができないので、その場合はどのようにするかということが重要なのである。一方海の近くであれば、なるべく高いところに行くということが必要だ。何よりも、高いところに逃げるということがなければ話にならない。そのようにして関連被害から身を守る必要がある。何かを備えておいても、その備えてあるものを使う前に死んでしまっては意味がないのである。その後、救助、復旧、復興というようになる。何からどのように直してゆくのか。何の復興を重視するのか。少なくとも現在もしっかりと復興していない東日本大震災などは全くうまくできていない「悪い例」ということが言えるのかもしれない。そして今度相模湾地震や南海トラフ地震が起きえるといわれている。それにどのように備えてゆくのか。我々は考えなければならないことが少なくない。よく「安心・安全」というが、備えて安心してしまう事が、安全を失うことであるということを、しっかりと考えるべきではないか。
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