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2024-02-19 12:45

春節に爆買いできない今の中国の景気

宇田川 敬介 作家・ジャーナリスト
 2月10日は中国の春節である。中国と中国文化の影響を持っている国々において「チャイニーズ・ニューイヤー」となっている。日本の場合は明治6年に太陽暦を採用しているので、その時以来西洋と同じ暦で新年になっているのであるが、いまだにそのようになってなく、日本でいうところの旧暦、つまり、太陰暦を使っている国は少なくない。ちなみに暦というのは、各国政府が自分の政府の暦というのはこのようにするというように決めるものである。ちなみにいえば、その決める時にはその時の政治状況や、文化などを考慮して決めるのが通常である。その文化ということは、その国の宗教性や生活習慣、産業などがあげられる。日本の場合は、基本的には農耕民族性があり、そのことから「種まきから始まって収穫で終了する」という一連の流れがあり、その流れに合わせて暦を作る。暦が生活のリズムにつながるので、その内容になるということになる。その様な意味で、その文化や政治が暦を決める要因となり、そのうえでその暦に合わせて政治が行われるようになる。実際に、イスラム教などは、ラマダンとハラリアという儀式が暦に出てくるのであってそのことからヒジュラ歴を使うようになっている。

 その様な意味で、本来は中国は、古代の中国と文化大革命以降その暦は変わってもおかしくないはずなのであるが、残念ながら、当時の中国共産党にはその様な暦を使った支配構造はできなかったようである。本来は、騎馬遊牧民族と農耕民族が別々に政治を行っているということになるのである。しかし、その様な民族性ということをすべて消し去ってしまっていることから、本来は「共産主義暦」というようなものが、東側諸国にあってもよいような感じがあるのだが、その様な暦は全く作られていない。はっきり言ってしまうと、暦という「目に見えないもの」も「無価値」としてしまうイデオロギーからその様な内容になっていないのではないか。その様な感じから見れば、現在の中国の実態に合っていない暦になっているのかもしれない。

 中国の本来の内容は「共産主義暦」というようなことを考えるならば、メーデー(5月1日】と、建国記念日である「国慶節」(10月1日)を中心に暦を成立させた方がよいが、なぜかそのまま農耕文化の内容である太陰暦がそのまま残っている。その春節が出てくることになっている。そのことから中国全土が日本の年末年始と同じように、中国人にとっては休みということになるのである。その休みにおいて、当然に日本もそう出るが「盆と正月」というように特別に長期休暇を取って、休みを楽しむのであるが、今までの中国は「金をふんだんに使った」休みをしていた。ある意味で私などは「成金趣味」というような感じの休みをしていた。多分バブル時代の日本人も、欧米からそのように見られていたのであろう。中国人が特に下品というのではなく、「経験のないものが金をもって殿様気分の旅行を楽しむ」ということはそのような感じになるのに違いない。しかし、日本のバブル崩壊後はどのようになったのであろうか。このように言うと、いつもバブル時代と今を比較してしまう。しかし、日本の場合も例えば1991年と、1994年(初めて就職氷河期と言われた年)を比較すれば、氷河期というのに多くの人を採用する企業(確か洋服の青山が採用人数を大幅に増やして話題になったが)などがあって、完全に経済が悪化したわけではなかった。しかし逆に「成金趣味」と思うような「遊び」はすべてなくなっていった。つまり「余暇」から先に金を使わなくなる。まさにそのようなことが「日本への爆買いがなくなる」ということの意味になる。単純に土産などもなくなり、同時に、余暇の資金が使わなくなるということになるのである。

 逆に言えば、日本の企業は「今まで通り」というような内容をなくして、「しっかりと中国の経済や政治状態」を学ぶべきであろう。その様に考えれば、例えば習近平政権が昨年、爆買いを止め、中国国内の資金を流出させないように、土産物に対する関税をあげたというようなニュースもあった。その様な政治制度もあり、また、日中関係もあるので、そのことから、爆買いは少なくなってきているのではないか。このようにニュースを見てしっかりと分析をしなければ、「爆買いに備えて仕入れをしてしまい損をする」というようなことになりかねない。はっきり言ってしまうと「知らないことが、自分たちの生活を圧迫する」ということになる。まさに、今の日本の報道では、その様なことがわからなくなってしまうということになるのではないだろうか。もっと役に立つニュースを見たいものである。
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