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2008-01-11 08:51

朝日新聞の社説に大矛盾あり

杉浦正章  政治評論家
 朝日新聞が11日、給油新法の衆院における再可決に反対する社説を掲載したが、いささか無理な論法に陥っているとしか思えない。まず社説は憲法に規定されている3分の2ルールによる再可決について「与党が使う衆院の3分の2という勢力は、小泉元首相による05年の郵政解散で得られたものだ。それから首相はすでに2度も代わった。まったく違うテーマでその多数の力を振るうことに疑問を抱く有権者も多いのではないか」と強調している。これには驚いた。朝日新聞の論説委員は、議会制民主主義の基礎もわきまえていないのだろうか。これでは、政党が選挙で与えられた議席に基づいて法律を制定するのは、不可能になる。郵政選挙で得た議席は、郵政民営化だけしか実現できないということになる。

 社説の論法に従えば、参院における給油新法の「否決」もできないことになる。なぜなら、先の参院選挙は「年金」をテーマにして野党が過半数の勢力を制したのだから、選挙の争点にならなかった給油新法を否決してはならないことになるではないか。給油新法に反対するために、問題をこじつけてはならない。さらに社説は「再可決は非常手段」と述べているが、憲法には「非常手段」という規定はない。「非常手段」というなら、51年の「モーターボート競争法」の再可決は「非常手段」だったのだろうか。一業界の働きかけで便宜を供したものであったにすぎない。しかし、当時朝日新聞は「非常手段」でないからけしからん、という社説を書いたのだろうか。

 与野党が修正の話し合いの努力を尽くしていないと強調するが、全く無意味な閣僚の宴会出席問題で時間を浪費したのは民主党であり、これを大々的に報じて勢いづけたのは朝日新聞ではなかったか。憲法上の規定がある限り、新テロ特措法案に限らず、外交上、財政上、あるいは国民生活上必要な政策・法案は、「3分の2」再可決条項を適用して、速やかに国政を遂行すべきである。
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