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2008-01-11 23:46

福田首相と台湾問題

坂本正弘  日本戦略研究フォーラム副理事長
 2007年末、福田首相は北京で台湾の国連加盟の住民投票の動きを「支持しない」としたが、これはこれまでの日本外交を超えて中国寄りに歩み寄った点で納得できない。すなわち、日本はこれまで、台湾問題は中国の内部問題とし、発言を控えてきたはずである。日本は日中共同宣言ではポツダム宣言の立場を堅持するとし、多くの国の署名したサンフランシスコ条約では台湾の放棄を宣言し(何処に帰属するかは述べてない)、国際的には台湾の帰趨は未定との議論が強いのである。首相の発言は日本外交へのこのような世界の視線をどの位意識したものか。

 11月の「百花斉放」(11月7日付投稿454号)で述べたが、筆者は10月末の北京での会議で、中国側が「米国はこの問題で反対している。日本も反対を表明すべきだ」といってきたのに対し、日本の従来の方針を説明した上で、「中国側の要請は、日本が今後台湾問題で自由に発言してよいという意味か」と反論すると、中国側は沈黙したいきさつがあった。福田総理は記者会見で「反対」とは言ってない、「支持しない」と説明したようだが、従来の日本外交の線を越えた理由は何か。よほど大きな見返りがあったのか、今後は、台湾問題について自由に発言する権利を得たのか、日本の国益をどう判断したのか、改めて聞きたいものである。

 今回、また、改めて「戦略的互恵関係」が強調されたが、環境協力、省エネ協力にしろ、その基礎となる技術は日本からの一方的持ち出しである。環境問題にしろ、省エネにしろ、中国の自主努力が前提であり、その上で、日本にお願いすることではないのか?更に言えば、日本のNo.1の首相が2回も訪問しているのに、向こうはNo.2が1回来たきりである。また、日本のNo.2の外相の相手は中国では外務部書記以上と思われるが、ここでも格下の外交部長を当てられている(ポールソン長官の相手は呉儀副首相)。2005年の日本公館への投石への公式謝罪もない。「戦略的互恵関係」が言葉の遊びに終わらないことを強く要求したいものである。
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