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2008-06-02 18:02

「同時行動の原則」で日朝関係打開をめざせ

吉田 康彦  大阪経済法科大学客員教授
 行きがかり上、北朝鮮を取り上げる。5月の大型連休中、ピョンヤンを訪問してきた。1994年いらい学術・文化交流、人道支援を継続している私として、9回目の訪朝だった。党・政府の幹部は「ブッシュ政権としては朝鮮半島非核化以外に外交上の成果を期待できないので、何としても米朝交渉をまとめ、6者協議の合意に持ち込むだろう。合意をつぶそうとしているネオコンの巻き返しを、ブッシュ大統領がはね返せるかどうかを注目している」と余裕綽々(しゃくしゃく)だった。

 気がかりなのは日朝関係だ。北朝鮮に対する米国のテロ支援国家指定解除は時間の問題となっているが、米朝関係が急展開しているわけではない。むしろ昨年末までに完了するはずだった「(既存の核施設の)無能力化」と「(全核計画の)申告」が米朝対立で長引き、6月までずれ込んでいるのだ。その間日本政府は、(北朝鮮が「死亡」と発表した)「安否不明者」の全員生還を含めて、拉致問題の徹底解明を求めて、圧力一辺倒のまま、3度にわたって経済制裁延長を実施してきた。このような日本政府の対「北」政策は、硬直しすぎているのではないか。日朝間には、いま全く対話のパイプが存在せず、米国の外圧で動かざるを得ない状況になっている。

 4月13日の制裁延長直前に、延長反対を申し入れるために面会した町村官房長官は、制裁の部分解除の可能性を示唆して、「ボールは北朝鮮側にある」と断言した。しかし私の訪朝中、北の幹部は「制裁延長では話にならない。超党派国会議員の訪朝団も歓迎するが、手ぶらでは駄目だ。対話再開のための環境整備が先決だ。それは制裁解除、朝鮮総連弾圧中止、万景峰92号の入港許可だ。ボールは日本側にある」と応酬した。そこで私は提案したい。核問題をめぐる米朝交渉と同様、「同時行動の原則」で、拉致問題打開のための対話再開と(たとえ部分的でも)制裁解除(たとえば万景峰92号の入港許可)を同時に実施してはどうか。日本政府関係者ならびに国会議員有志の真摯な検討を促したい。
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