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2008-08-05 16:36

(連載)福田・麻生体制での解散必至(2)

杉浦正章  政治評論家
 痛快なのは小泉内閣で改革を断行した前内閣府特命担当相・竹中平蔵の怒り心頭に発した発言だ。竹中は口を極めて、「改革反対内閣。官僚大好き内閣。増税大好き内閣」と批判したが、さすがに学者であっても、政治家ではない。怒れば怒るほど自分の敗北が浮き彫りになることを知らない。竹中は勢い余って、改造人事で切られた自民党上げ潮派が「分裂含みで動く」と述べた。中川秀直らが離党しかねないぞ、とすごんでいるようだが、まずないだろう。竹中の怒りが証明し、国民新党の副代表・自見庄三郎が見事に「消費税地ならし内閣」と形容したように、福田は「財政再建路線:消費税導入」を明確に選択したのである。

 経済財政相に与謝野、財務相に伊吹文明、幹事長に麻生という財政再建派を据えた布陣は、まぎれもなく「消費税」をにらんでのものである。恐らく新内閣は今秋の税制改革で、来年度の消費税導入は断念するものの、福田の述べた「2~3年後」の導入に向けた工程表を国民に示さざるを得ないだろう。自民党内には選挙を目前にし、景気が下降曲線をたどるときに「消費税でもあるまい」という慎重論もあるが、この陣容で消費税に何らかの意思表示をしないことは、まずないだろう。その上で「総選挙向け」予算編成を済ませ、その予算で国民の信を問う。当然給油支援活動措置法の延長もテーマとなる。秋か年末年始の解散・総選挙が流れだ。

 問題は、民主党だ。代表選挙が小沢一郎一人しか立たなければ、荒唐無稽(むけい)な財源論がこれまでの通りとなる。「節約」であらゆる政策課題をこなすのである。これはポピュリズムと言うより、国民を欺く政治にほかならない。代表代行・菅直人は「民主党政権は、国のかたちを根本から変える革命政権だ。2、3年は埋蔵金だろうが、何だろうが、一時的に使えるものは全部使い、徹底的に改革する中で必要な財源を取っていく」と述べているが、日本の財政をどこかの小国並みにとらえている。しっかりした財源論を持たないと、やがて一般大衆も欺瞞(ぎまん)に気づく。(おわり)
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