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2008-09-01 10:16

定額減税は解散時期と密接連動

杉浦正章  政治評論家
 政府・与党が導入を決めた定額減税は、あまりにも総選挙向けのばらまき政策といった性格が濃厚である。逆を言うと、定額減税と解散・総選挙の時期は、密接不可分につながって来る可能性が高いということになる。首相・福田康夫の思惑はともかく、少なくとも自民・公明両党首脳らは、定額減税に加えて、新テロ対策特別措置法改正案の扱いと、解散時期の絡みをどうするかについて、調整を始めるに違いない。「減税」と「給油」が解散時期の決定要因となり、その時期はいまのところ秋の臨時国会末から通常国会冒頭にかけてとなる公算が濃厚だ。

 公明党の主導でまとめた「減税」だが、自民党にとっても悪い話ではない。額は未定だが、単年度で最低のケースで1万円から最高で公明党の主張する6万円を“配る”のだから、政府・与党による露骨な“事前運動”という色彩が濃厚である。それも現時点で決めては選挙までに忘れられてしまうから、恐らく選挙直前となる年末に額を決めるわけである。まさに見え見えである。法案処理など複雑に絡んだ政治課題の糸をほぐすと、政局のパターンが浮かび上がってくる。現在のところ考えられる解散時期は、つぎの5つである。(1)臨時国会冒頭の抜き打ち解散、(2)臨時国会最中の審議中断による解散、(3)臨時国会会期末の解散、(4)延長臨時国会の解散、(5)通常国会冒頭解散である。このうち(1)の臨時国会冒頭は、福田にその意思がなく難しいだろう。(2)臨時国会最中と(3)会期末の2ケースは、政局の弾み方次第だが、本筋ではあるまい。一番可能性が出てくるのが(4)11月20日で終わる会期を延長して年末か年始の解散か、(5)通常国会冒頭の解散であろう。

 そこで絡んでくるのが「減税」だ。年末に規模を決め、第2次補正予算案を組んで成立させて実行に移すわけだから、「給油」と並ぶ与野党激突の補正予算となる。第2次補正は、早くて延長臨時国会か、1月中・下旬の通常国会冒頭で処理することになる。野党は両法案とも成立阻止に回るだろうから、「給油」は3分の2条項を使っての強行突破、「補正」も強行採決か、たなざらしを野党の責任にして解散という図式が出て来得る。もっとも第2次補正を組まずに、減税方針だけを示して、解散という手もある。これまでも例があり、その場合、年末解散となるだろう。与野党首脳を問わず年末から年始にかけての解散説が強くなっているのは、こうした背景がある。もっともこれは福田の手による解散のケースであり、「福田おろし」が深刻化して、与党内で政権交代の動きへと発展した場合は別だ。福田自身が、自らの出処進退について「出来るところまでやるつもりだ」と漏らしていることが示唆するように、臨時国会は五里霧中どころか、寸前暗黒の事態に突入することになろう。
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