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2008-10-22 09:58

「笑い」を通り越して「空恐ろしさ」を感ずるペーリン

入山 映  サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
 9月22日付けの本欄に「理解の域を超えたペーリンの米副大統領候補指名」を投稿(762号)して以来1ヶ月が経つ。選挙日まで1ヶ月を切ったところで、彼女についての情報はほぼ出尽くした。日本のマスメディアには余り紹介されないこともあって、「候補者になったからには、きっとそれなりのことはあるだろう」という種類の言説が聞かれないでもない。米国という国がどれほど奇妙な選択をなし得るか、という意味で、彼女の度し難いナイーブさ、あるいはもっとはっきり言えば、度はずれた無知さ加減を知って頂き、米国なる国のありようの一端を披露してみよう、というのが本日の投稿の主題である。他国の政治家を月旦の俎上に挙げることの無責任さは、十分承知している。だが、彼女を安易にヒラリーと比較したり、小池百合子、はては東北地方の地方議会議員と対比する無邪気なコメントを耳にすると、本欄で再度この問題を取り上げるのにも意味なしとはしない、と考えた。

 彼女はチャールズ・ギブソンとのインタビュー、あるいはバイデンとの対話こそ(猛勉強の甲斐あって?)何とか無難にこなしたものの、その後のテレビ出演、特にCBSのケイティー・クーリック(彼女のインタビュアーぶりは誠に天下一品。日本メディアのあのつまらないインタビュアーたちは、ぜひ彼女の爪の垢を煎じて頂きたし)とのインタビューに至っては、遂に馬脚を顕したといっても過言ではないだろう。例えば、http://www.cbsnews.com/videoで一次情報が入手可能であるので、ぜひ一覧をお勧めする。失礼だがこれほど笑える番組は、近来稀である。要約すれば、質問が何であれ、自分の知っている話題か、マッケインの偉大さをもって答える、というのが「笑える」理由だ。「民主主義を他国にもたらそうとしたブッシュ政権の軌跡から何を学びますか」→「民主主義は世界に広められるべきです」、「今回の金融危機に対する巨額支出に対してのご意見は」→「マッケイン氏のおっしゃるとおりです」、「国際情報は新聞から入手されているそうですが、具体的に購読なさっているのは」→「あらゆる新聞です。アラスカを地の涯とは思わないでください」。

 彼女の名誉のために付言すれば、多少なりとも知識のある分野(アラスカにおける資源開発、地球温暖化、女性の地位、人工中絶問題など)については、それなりの回答は出来ている。ただ、昨年までパスポートさえ持っていなかった事実が示すように、国際感覚の欠如には驚くべきものがある。それは良いとしよう。しかし、世界を善玉(good guy)と悪玉(bad guy)に二分し、「米国の価値観を否定しようとする、あるいは危害を加えようとする者が、悪玉だ」と自信たっぷりに述べる彼女には、笑えるのを通り越して、空恐ろしさを感じる。個人の棚卸しはこの投稿の主旨ではない。なぜ彼女が選ばれ、それなりの支持者も存在するのか、というのが筆者の疑問であり、読者と共有したい、と考えた。コメントをぜひお願いしたいと思う。
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