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2008-11-07 14:39

(連載)自治体破綻への警鐘(3)

森 浩晴  団体職員・大学講師
 全体を通して言えることは、地方債残高に占める、企業会計債の比重であります。前述の通り「公債は当年だけで無く、後年に亘る事業の為である」との論法もあり得ます。しかし、これだけの巨費が借金として残っており、毎年そのための元利償還が強いられているとなると、地方財政への毀損は否定できないところです。国家もさることながら、地方公共団体に於いては財政健全化が喫緊の課題です。次世代に負担を残さないことが、私ども現在を生きる者の責務と感じます。今の時点だけで無く、次世代にまで目を向けて、ここで不要不急の起債事業の在り方を見直すことが求められているものと痛感致します。

 また余滴になりますが、今回本稿を作成する際、その元データを得るのに艱難辛苦しました。普通会計はともかく、企業会計に係る数値が余りに込み入っており、地方財政のエキスパートでも正確な値を即座に出すことが困難なのであります。たとえば法適用企業の決算には収益的収支だけで、資本的収支は組み込まず、Web上で公開されている数値も、収益的収支だけに限定されています。しかしなぜそのような取り決めになっているか、を知り得る岐阜県職員(地方課・財政課)の方は皆無でした。

 企業会計が今ひとつ分かりやすい形になれば、住民の方々にもお住まいの地方公共団体の財政が健全であるかどうかが判断できるのですが、現状ではそういった単純明快な形にはなっていません。更なる、簡便な財政指標の確立、それに基づく住民・議員による地方行財政のチェックが、「第二の夕張」を出さないための最大のメルクマールであると考えます。

 補足として、日本国の総借金を試算致しました。平成17年度末で、(1)政府の借金が827兆円、(2)自治体の借金が233兆円、(3)総借金額が1027兆円です。国民1人当たり1000万円の借金です。1分間に利息だけで1700万円がかさみます。刮目すべきは、こうしたヒアリングをする際に、政府借金(財務省)と自治体借金(総務省)が縦割りになっており、日本国の危機として一体化した捉え方がなされていない点にあります。次世代に禍根を残さぬ様に、知恵を出す必要があります。(おわり)
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