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2008-11-17 11:32

(連載)日本は内需拡大の成長戦略を打ち出せ(1)

角田 勝彦  団体役員・元大使
 11月13日経済協力開発機構(OECD)が発表した最新の経済見通しでは、我が国の経済成長率は2008年が0.5%で、2009年はマイナス0.1%になる。なお、09年後半から10年末まで1年半に亘り、消費者物価の伸び率がマイナスになるデフレに再び陥るとも予測されている。6月27日閣議決定された「骨太の方針08」で、経済成長戦略(全員参加経済戦略、 グローバル戦略及び革新的技術創造戦略 )の実現によって、人口減少下でも、今後10年間程度の間、実質2%以上の経済成長を目指すとした目標が、早くも実現困難になったのである。

 これは金融危機による世界的不況に主因するもので、円の独歩高が示すとおり、日本経済の先行きは輸出減少の懸念などはあっても、必ずしも悲観すべきものではない。たとえば原油など資源の価格低落は交易条件を改善する。円高も、輸入や外国旅行に有利である。1人あたりGNIで見た日本の世界での順位は大きく上がるであろう。麻生首相は、金融サミット後、16日朝の記者会見で「新しい世界経済と金融というものに対応した国際的な経済システムの実現に向けて、引き続きリーダーシップを発揮してまいりたいと思っている」と大見得を切った。

 日本の経済成長率回復のために、これまでのように海外景気の回復(とくに輸出拡大と海外よりの投資)を待つわけにはいかない。OECDは09年の成長率を米国マイナス0.9%、ユーロ圏マイナス0.5%とみている。IMFが11月7日発表した最新の世界経済見通しも、世界の実質成長率は09年2.2%と10月前回予測より0.8%の下方修正を行っている。

 15日の金融サミットの成果(金融面の対策では、日本の1000億ドル拠出くらいしか新味無く、財政出動は、具体性無し)から見ても、再発防止はともかく、実体経済を巻き込んだ今の世界不況が急速に改善される見込みはない。それでは、日本は何を目指すべきであろうか。世界経済の回復安定に金融面などで極力協力すべきことはもちろんであるが、この際、本気で内需拡大に成長戦略の中心を置くべきである。16日朝の記者会見で、麻生首相も「(ドル基軸通貨体制維持のために)内需拡大に努める必要がある」と表明した。(つづく)
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