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2009-01-05 08:21

寸前暗黒の政局の先行きを占う

杉浦 正章  政治評論家
 未曾有の政局が始まった。政権与党は東京大空襲の中を布団をかぶって駆け抜けるような状態だろう。選挙後の新党、政界再編など何があってもおかしくない。項目別に寸前暗黒の今年の政局を占ってみた。

 【麻生戦略】
基本的には中央突破だろう。早期解散には応ぜず、定額給付断念につながる2次補正からの切り離しはせず、その中で金融危機、日米首脳会談(2~3月)、サミット(7月)などをフルに活用して支持率の回復を図るとともに、解散のチャンスをうかがうという形だ。麻生太郎の支持率が三日月状態になっているが、これがカミソリのように新月に近くなると危険。時事通信の調査の16%が一けた台にのると退陣間近となる。いままで麻生は「初期不良」とも言える状況だったが、通常国会で「修理不能」となるかどうかだ。麻生は4月末か5月の予算関連法案成立後の解散、サミット後の解散、任期満了選挙のいずれかを選びたいに違いない。

【解散総選挙の時期】
 理論上は、1月解散から一番遅いケースで任期満了選挙の10月18日投開票までの間に行われる。勝負は、政府・与党が本予算成立以後の解散にまで持ち込めるかどうかだ。2次補正案と2009年度予算案を政府・与党は“人質”にとった形であり、未曾有の金融危機と景気対策と言う錦の御旗で突っ走るしかない。7対3で解散は予算関連法案成立の4月末以降に先送りできるのではないか。野党の主張する話し合い解散は、政権が変わるかどうかの瀬戸際であり、まずあり得ないだろう。寸前暗黒だが。

 【誰の手で解散】
 9月の任期切れに伴う総裁選挙を前倒しして、新総裁の手で解散という可能性は否定できないが、麻生が通常国会を持ちこたえれば、それはない。党内を見回しても、これという後任がいない。8対2で麻生の手による解散だろう。昨年末拙稿がスクープした与謝野馨選挙管理内閣構想も0.5%程度はあるが、民主党は「筋が違う」(幹事長・鳩山由起夫)としており、乗らないだろう。

 【選挙結果予想】
 現段階で総選挙となれば、民主党は過半数に達するだろう。自民党は200議席前後まで落ち込む可能性がある。しかし民主党は現在が満月状態といえ、これが解散までにどこまで欠けるかだろう。政局一辺倒の小沢一郎戦略は、金融危機国会にそぐわない。焦点は2005年の総選挙の結果の、与党327議席(自民296)、野党153議席(民主党113)がどこまで変化するかだ。落ち込んで、自公合わせて過半数の241議席に達しないケースはあり得る。しかし民主党が第一党を獲得しても、過半数に達しないケースもあり得る。流れは民主党にあるが、自民党には結党以来の危機感があり、そのバネがどの程度利くかだ。現段階では5.5対4.5で民主党政権の可能性があるとしよう。

 【政治日程】
 2次補正は1月中旬衆院可決、2月中旬自然成立し、関連法案は3月中旬60日条項で再可決、成立の方向だ。本予算は3月中の自然成立、関連法案は4月下旬か5月の成立。これを民主党の国会戦略が崩せるかどうかだ。6月3日が会期末、7月にサミット。

 【定額給付金】
 野党が切り離しを要求しているが、これはマスコミの世論調査に基づく論調を見てのこと。実態は給付待望論が圧倒的だ。そのギャップを政府・与党が埋められるかどうかだ。ここは政府・与党が新聞でも民放テレビでもフルに活用して、国民に直接理解を求める広告・宣伝に打って出るしかあるまい。

 【再編・新党への同調者】
 焦点は渡辺喜美と中川秀直の動向にある。渡辺は「離党宣言」をしており、同調者が出るかどうかだが、人望がなく、人が寄りつかない。田中角栄が中川一郎を「池の外に飛び出したコイは、日干しになる」と述べたが、中川は自殺に追い込まれた。渡辺の場合はコイどころかハゼ程度の重みしかなく、新党・再編の目としては力不足だ。重要なポイントは有権者の動向。地元選出の国会議員がせっかくもらえる給付金をストップしたとなれば、有権者が反発する。選挙には大きなマイナスになる。したがって「17人の同調者」を集めるのは困難だろう。中川秀直の動きも、党と派閥の締め付けが効いて、鈍い。大きな再編の動きになるかどうかは、まだ判断出来る段階ではない。
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