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2009-06-11 10:01
(連載)角をためて牛を殺す国家公務員制度改革(1)
角田 勝彦
団体役員
衆院議員の任期切れ(9月10日)まで、いよいよ残り90日になった。筆者は、2008年1月の投稿「総選挙を急ぐな」以来、繰り返して、内外情勢多事多難の折から政治が空白化するのは、避けるべきであると主張してきたが、過去最大の約14兆円に上る2009年度大型補正予算も成立し、関連法案成立の見通しも立った現在、もう総選挙の時期の遅速を論じるつもりはない。国会の会期は7月28日まで55日間延長と決まったが、一部では、ずるずる先送りするよりましと考え、東京都議選(7月12日投票)とのダブル選すら唱えられている現在である。
問題は、次期総選挙の結果、政権交代があるとしても、安定政権が成立することは望み薄なことである。その後も続く内外の困難な情勢に対応していくためには、まずせっかく成立した予算などを執行するしっかりした行政を確保することが必要である。そのためには、選挙前の世論迎合的発想から、いたずらに官僚非難を行って、国民の信頼を失わせたり、ましてやせっかく動き出した国家公務員制度改革に茶々を入れ、行政の空白を生むことはさけるべきである。
国会は、国権の最高機関として法律を制定することにより行政を規制できる。国会議員は政府の一員にならない以上、行政に参画することを期待されていない。三権分立の原則を忘れてはならない。5月27日の第1回の麻生・鳩山党首討論で、鳩山氏は麻生政権を「官僚任せ」と批判、「国民、市民、生活者に起点を当てた政権を作りたい」などと述べた。これに対し、首相は「公務員には公務員の仕事がある。官僚をやる気にさせるような方法を、社長になられるつもりなら考えてほしい」と切り返している。
マスコミもひどい。高級官僚は腐敗と癒着の元凶であるとの印象を強める報道を連日のように行っている。ねたみ、そねみもあり、国民の官僚不信は高まるばかりである。最近のNHKの世論調査では、次期総選挙の関心事として、社会保障、景気に次ぎ、失業より上に、公務員制度が挙げられていた。たしかに公務員の天下りや「渡り」のあっせんへの非難は俗耳に入りやすい。6つの団体に「渡り」を繰り返し、3億円超を稼いだ元水産庁長官のケースなどは、誰もが非難しやすい。しかし麻生首相も天下りや「渡り」のあっせんを今年中に廃止する政令を出すと答弁している。改革は進んでいるのである。(つづく)
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(連載)角をためて牛を殺す国家公務員制度改革(1)
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角田 勝彦 2009-06-12 09:23
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