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2009-06-20 09:50
(連載)米韓同盟の強化を歓迎する(2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
そして、三つめは、朝鮮半島統一に関する長期的なビジョンである。同文書は「米韓は、同盟を通じて朝鮮半島の平和を構築し、自由民主主義と市場経済の原則に基づいた平和的統一を目指す」と明記している。朝鮮半島に我が国と価値観を同じくする自由民主主義と市場経済の統一国家ができることは、我が国の安全保障上、死活的に重要なことである。
もしも朝鮮半島が中国の影響力の強い形で「赤化統一」するようなことがあれば、我が国の防衛ラインは対馬海峡まで南下することになる。これは絶対に避けるべき事態である。朝鮮半島が自由民主主義と市場経済の原則にのっとった形で統一するということは、韓国主導で統一がなされるということに他ならない。そのためには韓国の国力、とりわけ経済力の増進が不可欠である。それゆえ、経済危機に際して韓国に対して手厚い援助をするということは、正しい「投資」だということになる。
米韓同盟の強化に関連して、最後に、二点気になることを指摘しておきたい。一つ目は、最近の日本の国内政治の漂流により、肝心の日米同盟の強化が、米韓同盟の流れに比べて、いささか見劣りがすることである。これは、政権交代を掲げながら「反米」ととられかねない政策を次々と打ち出す日本の民主党の責任が極めて大きい。具体的には、海上自衛隊によるインド洋での補給活動の即時停止、日米地位協定の見直し、在沖縄海兵隊グアム移転と普天間飛行場移設を柱とする在日米軍再編計画の白紙撤回などである。
もう一つは、日米韓の緊密な連携がますます必要となっているにもかかわらず、日本で嫌韓的な国民感情が高まっていることである。確かに、韓国は竹島領有権問題や歴史認識などで理不尽なことを言ってくることがあり、日本の国民感情が反発するのは自然なことではあるが、大戦略の前にあっては、特に政策担当者は感情に流されない冷静な判断が肝要である。ただし、これは、何も韓国の理不尽な要求をいちいち唯々諾々と受け入れるという意味でないことは言うまでもあるまい。古典の言葉を借りれば「和して同ぜず」の精神で行くのが、最善だということである。(おわり)
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(連載)米韓同盟の強化を歓迎する(1)
高峰 康修 2009-06-19 18:28
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高峰 康修 2009-06-20 09:50
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