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2009-10-22 19:03
(連載)普天間移設問題で米「最後通牒」(1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
20日来日したゲーツ米国防長官は、鳩山首相・岡田外相・北沢防衛相と会談し、日本側に対して改めて、米海兵隊普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸への移設を、日米合意に従って計画通り実施するよう強く迫った。とりわけ、岡田外相との会談では、ゲーツ長官は11月12日に予定されているオバマ大統領の来日までに結論を出すよう要請していたと報じられている。これは「最後通牒」とでもいうべき、異例の強硬姿勢である。
ゲーツ長官は「普天間の代替施設なしに米海兵隊のグアム移転はない」と明確に述べている。これは、現行計画が日米双方にとってプラスとなることを示したものである。日本側にとっては、市街地に存在し「世界で最も危険」とも言われる普天間飛行場が移転することで、地元の負担が軽減される。一方、米側にとっては、普天間問題の解決は、2014年までに海兵隊8000人をグアムに移転するという米軍再編の要となる。これが実現しなければ、米軍再編のスケジュールに狂いが生じてくる。かかる戦略的観点から、米国はなんとしても先送りを認めるわけにはいかない。また、ゲーツ長官が述べた通り「代替施設なしで海兵隊のグアム移転はなく、沖縄における兵員縮小と土地の返還もない」のであって、これは日本にとって、とりわけ地元にとってマイナスとなる。
ただ、日米間には普天間移設問題をめぐって意識に大きな齟齬があるように見受けられる。日本は、これを米軍基地問題として矮小化して捉える傾向が強いが、米国は、米軍再編というスケールの大きな話の要ではあるが、あくまでも一部だと位置づけている。我が国もその認識を共有すべきである。それなくして「対等な日米関係」などあり得ない。一方、ゲーツ長官は、沖縄県や名護市が要求している代替施設の沖合への50メートル前後の移動を初めて正式に容認する姿勢を示した。これも、「現行計画は最終案であり1ミリたりとも変更を検討する余地はない」との米側の原則を曲げて、何としてでも普天間移設を実現したいという米側の強い意思の表れである。
これに対して、日本側は、米国の焦燥感を全く理解していないと言わざるを得ない。鳩山首相以下、各閣僚は口をそろえて「日米同盟は重要だ」というが、ゲーツ長官はそんな話を聞くためにわざわざ日本に来たわけではない。日本で鳩山政権に交代してから、普天間移設問題、アフガンでの対テロ戦争の協力、核密約調査問題が、日米同盟にとって大きなマイナス要素となる「三点セット」となっており、ゲーツ長官は、今回は普天間移設問題にプライオリティをおいて訪日に臨んだのである。(つづく)
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(連載)普天間移設問題で米「最後通牒」(1)
高峰 康修 2009-10-22 19:03
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高峰 康修 2009-10-23 09:45
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