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2006-05-22 21:35
両極論を排した提言に敬意を表したい
平野 謙
農業
日本国際フォーラムの同一の提言を取り上げながら、これほど対極的な評価が出てくるとは、興味深いというよりも、むしろ驚異的である。というのは、第27提言「国際エネルギー安全保障体制の構築」の第5提言「アジアのエネルギー地域協力で主導的役割を果たせ」について、本日の結城康宏氏の投稿と昨日の山下弘氏の投稿が両極端の反応を見せているからである。
結城氏は、「提言5ですが、『中国が国際エネルギー市場の不安定要因とならないよう地域協力を進めるべきである』と言いながら、現在の日本外交が韓国とともに中国を敵に回していることの是非にふれていません。エネルギー戦略を重視するならば、靖国問題で中国を敵に回すのは矛盾していませんか。その点をもっと強く政府に提言してもよかったと思います」と述べているのに対し、
山下氏は、「『石油は市況商品から戦略商品になった』『中国が世界各地で市場原理になじまないやり方で強引に石油を集めている』と述べておきながら、なぜ『日本も中国に対抗して、同じような対抗措置を取り、同じような国家戦略を策定せよ』と言わないのか。逆に『日本と中国がウインウインの関係で最終的には『東アジア・エネルギー環境共同体』を創設せよ』などと言うのか。百歩譲っても、日本が『ウインウインの関係を望んでも、中国がそれを望まなければどうするのか』という点への論及を欠いたのは、画龍点晴を欠いた」と述べている。
結城氏は、日中協力のためには靖国参拝もやめよ、と言い、山下氏は、中国に対しては目には目、歯には歯だ、と言う。どちらが正しいのか?私は、両氏の論は分かりやすいが、ともに間違っていると思う。靖国参拝をやめたからといって、急に日中エネルギー協力が実現するわけではない。これはこれ、あれはあれ、である。他方、目には目、歯には歯で進めば、前方にあるのは確実に共倒れである。この両極論を排して、その中間にある王道を選んだ第27提言の叡智に改めて敬意を表する次第である。
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投稿履歴
対中国、中東、ロシア政策について異論あり
結城康宏 2006-05-22 11:52
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両極論を排した提言に敬意を表したい
平野 謙 2006-05-22 21:35
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