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2010-01-26 09:34
(連載)アメリカに大統領はいない:アバターとしてのオバマ大統領(2)
藤井 厳喜
ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン代表取締役
大事な政策は、全て集団指導体制により決定され、オバマはそのメッセージを国民に伝える伝達役に過ぎない。彼は「大統領」の役職を演じている人物に過ぎないのである。
「アバター」という映画が大ヒットしているが、アバター(avatar)とは、「化身」という意味である。本物が存在し、それに対する偽物、代理としてのアバターが存在する。ネット上では、既に電子上のアイコンとしての「アバター」という用語が使われて久しい。また、最新のアメリカ映画のタイトルに、「サロゲート」というのがある(日本では1月22日公開)。このサロゲート(surrogate)というのは、「代理人」という意味である。
インターネットの世界は、アバターであり、サロゲートの時代なのであろう。映画でいえば、「マトリックス」以来、現実の世界よりも、バーチャル・リアリズムの世界が優位にあるという倒錯した世界観がしばしばテーマになってきている。インターネット社会が現実から引き離された仮想空間を創っている事への人間の恐怖感の表れであろう。この点でも、オバマ大統領は初代のインターネット大統領であり、アバター大統領なのでもある。
英語のアクティング・Actingという言葉には、主に2つの意味がある。「俳優として、ある役を演ずる」という意味(だから俳優の事をActor、Actoressという)と、「代理役を務める」という意味である。どちらの場合も、自分が本来そうではないものの役割を演ずるという意味である。オバマ氏は、「大統領の役を演じている」、そして「大統領の代理役を務めている」人物に他ならない。彼が、重大な争点の最終的な決断者でない事は確かである。(おわり)
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(連載)アメリカに大統領はいない:アバターとしてのオバマ大統領(1)
藤井 厳喜 2010-01-25 09:45
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(連載)アメリカに大統領はいない:アバターとしてのオバマ大統領(2)
藤井 厳喜 2010-01-26 09:34
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