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2010-02-05 11:03
(連載)経済成長戦略の一つに「賢い規制緩和」を(2)
角田 勝彦
団体役員
さて、G7では、金融危機の再発を防止するためオバマ米大統領が打ち出した、銀行の業務範囲の制限と金融機関の規模拡大に歯止めをかける金融規制の新方針も討議されよう。この案は、経済危機後の新たな国際秩序のあり方について討議した2010年1月末のダボス会議でも討議された。1980年代以来の金融自由化の流れを逆転させる、大衆迎合主義的な過剰規制案との批判もあったが、条件付賛成が優勢だった。銀行バッシングになった。
実は、その根底には、自由放任による経済成長か、政府の関与・規制による公正の確保か、という思想的対立がある。オバマは、昨年の就任演説で、政府の役割の重要性と行き過ぎた市場を制御する必要性を訴えていたのである。医療保険改革もその一環である。もとより、経済成長、すなわち富の創造がなければ分配が無理なことは明らかである。さらに雇用確保の問題がある。今年は失業対策がとくに重要な年である。
この関連で、我が国では、日本企業の国際競争力を維持し、外資導入をうながすために、世界で最高水準の法人税率を引き下げよとの主張もある。郵政民営化の中断を遺憾とする声もある。しかし、民主党鳩山政権は「ダムから人へ」や「いのちを守りたい」のスローガンの下、民間企業へのてこ入れに消極的である。また製造業派遣の原則禁止など、企業に負担を強いる規制強化も訴えている。他方、民間企業の活性化なくして経済成長は期待できない。
この矛盾を解決するためには、智恵を絞って、業界の利益保護などのために行われてきた過剰な規制を緩和することが考えられる。とくに経済活動別GDP構成比(名目、2006年)で72%を占める第3次産業の規制緩和が必要である。たとえば総医療費の対GDP比は8%と大きく、さらに増加が見込まれている。規制緩和により、医療・介護・健康産業が成長すればGDP成長に貢献するところ大である。「賢い規制緩和」の早急な実現が望まれるゆえんである。(おわり)
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投稿履歴
(連載)経済成長戦略の一つに「賢い規制緩和」を(1)
角田 勝彦 2010-02-04 11:08
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(連載)経済成長戦略の一つに「賢い規制緩和」を(2)
角田 勝彦 2010-02-05 11:03
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「事業」だけでなく「規制」も「仕分け」せよ
角田 勝彦 2010-07-07 12:27
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