いわゆる「核密約」に関する調査結果が出て、最も懸念されたことは、非核三原則と米国のNCND(Neither Confirm Nor Deny:核の配備について肯定も否定もしない)政策の抵触を理由に、非核三原則の解釈や運用を硬直化させ、それが将来の政権を拘束して、米国による拡大抑止力を損なうことであった。岡田外相は、東アジア非核地帯の構築を提唱し、「米国の核の傘から半歩出る」という持論を展開してきた人物である。上記のような懸念が提起されたのは、故なきことではない。しかし、岡田外相は、3月17日午前の衆院外務委員会で、「緊急事態が発生して、核持ち込み、一時的寄港を認めないと、日本の安全が守れないという事態が発生したとすれば、その時に政権が命運をかけて決断し、国民に説明する」と答弁し、将来的に有事が起きた場合に、米軍の核兵器の持ち込みを容認する事態もあり得ることを示唆した。