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2010-04-11 18:08
(連載)「核なき世界」と日本の対中外交(1)
角田 勝彦
団体役員
新しい米ロ核軍縮条約調印により、オバマ米大統領が提唱する「核なき世界」への第一歩が踏み出され、4月12日からの核安保サミットなどで、次の一歩が模索されている。そのような現在、イランなどへの核不拡散においても、核軍縮においても、中国の重要性が高まっている。鳩山首相は、中国首脳(核安保サミットに出席する胡錦濤国家主席及び5月末来日が予定されている温家宝首相)に対し、唯一の被爆国かつ非核大国として「核なき世界」実現への協力を要請すべきである。当面は、安保理における実効性があるイラン制裁決議採択への協力と北朝鮮関係6カ国協議の早期再開に向けた連携強化であるが、わが国益にも資する「核なき世界」実現をめざし、オバマの努力への支援をさらに具体的に示すべきである。
「核兵器のない平和で安全な世界」を追求するとした昨年4月5日のオバマのプラハ演説からほぼ1年たった4月8日、オバマとメドベージェフ・ロシア大統領は、同じプラハで第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる核軍縮条約「新START」に調印した。新条約は、米ロの戦略核弾頭配備数の上限をそれぞれ現行の2200から1550に制限し、また、核弾頭の運搬手段である大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と戦略爆撃機に関し、配備数の上限を700(予備役に編入されたミサイルや爆撃機を含む運搬手段の全体の保有数の上限は800)とするものである。
プラハ演説で、オバマは、(1)START1に代わる米ロ新核削減合意や米議会で塩づけにされている包括的核実験禁止条約(CTBT)批准など核保有国の軍縮、(2)核拡散防止条約(NPT)の有効性回復とジュネーブ軍縮会議で停滞している兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約交渉の推進、(3)1年以内に核安全保障サミットを米国で開催して、核テロ阻止体制を4年以内に確立する核テロ防止外交、の3つを米外交の主軸の1つに位置づける方針を鮮明にしていたが、その第一ステップが実現したのである。
また米政府は、4月6日、今後5~10年を視野に入れた米国の核兵器の配備や研究・開発の指針となる基本政策「核態勢見直し(NPR)」を発表した。これは94年、02年にも策定され、今回は3回目だが、従来は、米国がどのような場合に核兵器を使用するかの条件を明らかにしない「あいまい政策」を採ってきた(それが抑止力に結びつくとの発想)こともあり、機密文書として議会に提出されてきたものなのだが、今回は一部を除きその内容が公表されたのである。(つづく)
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