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2010-10-22 19:40
(連載)オバマ外交は「好かれるアメリカ」を卒業できるか?(1)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
バラク・オバマ氏は大統領に就任してからというもの、アメリカの大統領ではなく、まるで「ポスト・アメリカ」の大統領のような外交姿勢をとってきた。それはジョージ・ブッシュ大統領の「単独行動主義のアメリカ」から、ブレジンスキー氏の言う「好かれるアメリカ」への「チェンジ」を念頭においた外交転換であった。私が一貫してオバマ政権に批判的であったのは、これが大きな理由である。
しかし、帝政時代の野心を取り戻したロシア、いわゆる「平和的な台頭」を追及する中国、核拡散に手を染めるイランと北朝鮮といった危険の増大により、「任期の後半に入るオバマ政権は、アメリカの立場をより強く主張するようになるだろう」と観察する向きもある。ブルッキングス研究所のロバート・ケーガン上級研究員である。ケーガン氏は「第二段階に入るオバマ政権は、第一段階での大国間協調路線およびG20協調路線から転換し、民主的な同盟国との関係を重視するようになるだろう」と述べている。ヒラリー・クリントン国務長官が昨年行なった外交基調演説と今年のものを比較したうえで、ケーガン氏はアメリカ外交に上記のような変化が見られると言う。
中国の拡張主義的な野心は、日本との尖閣諸島紛争に見られるように、強まる一方である。さらに劉曉波氏へのノーベル平和賞授与に対して中国がノルウェーに圧力をかけたことは、国際社会に大きな懸念を抱かせている。ヒューマン・ライツ・ウォッチでアジア・アドボカシー部長を務めるソフィー・リチャードソン氏は「中国当局がどれほど受賞に憤慨しようとも、このノーベル賞は劉氏の不屈の戦いを称えるだけでなく、民主化のために戦う中国市民に対する賞でもある」と述べている。
アジア太平洋諸国は専制国家中国のいわゆる「平和的な台頭」に強い警戒の念の抱き、アメリカとの同盟関係を強化しようとしている。他方で上海協力機構は、劉曉波氏の受賞が欧米中心の視点だと批判した。スウェーデンのストックホルム大学の池上雅子教授が主張するように、中国とロシアが主導する上海協力機構は「専制国家の枢軸」であり、NATOとアジア太平洋地域の民主主義諸国は彼らの拡張主義に対して団結するべきである。(つづく)
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