にもかかわらず、米軍は、なにゆえに沖縄基地の維持に固執して、グアムなどに移転しないのか?答えは、簡単である。それは、鳩山氏が発言しているとおり、沖縄基地が「居心地がよい」からである。つまり、米軍にとって、沖縄基地の有用性は、抑止力確保のためというよりも、むしろ、沖縄基地が、米軍将兵と家族に軍事用語でいうR&R(Rest and Recreation)を提供できる点にある。また、現在の在沖縄の米軍基地に関わる費用は、地主への地代補償のみならず、労務者提供、家族のための住宅建設などの費用一切を日本政府が負担している。したがって、米側からみれば、このような沖縄基地は、米軍が沖縄を占領して以来の「既得権益」であり、これ手放したくないのは当然である。このような見解は、日米安保条約運用の裏面を知る政策当局者や専門家たちに広く共有された認識である。そのことを、かつて外務省安全保障課において米軍基地問題を担当した筆者は、知っている。