わが国政府としては、このような中国の動きを基本的には歓迎すべきであろう。ただし、日本側は、いわば「先手をとった」中国側のペースに巻き込まれるのを避けつつ、確固とした長期的な戦略に基づき対応すべきである。当面の懸案問題である、尖閣問題については、不測の事態発生の抑止、ないし実際に発生した際の危機管理措置(risk control management)などにつき合意を図ることによって、再び日中関係が緊張することなく、より安定した基盤を整備することを目指すべきであろう。このためには、今後とも潜在的な緊張要因である尖閣領土問題については、かつてトウ小平が提案したような、何らかの「棚上げ」方式によって解決を図ることが必要であろう。