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2011-06-01 15:07
国会は復旧・復興のため責務を果たせ
角田 勝彦
団体役員
政治の世界には一寸先は闇という言葉もあるから内閣不信任案を巡る6月始めの攻防がどうなるかは判らないが、28%(5月27~29の日経・テレビ東京共同世論調査)とあいかわらず低い支持率にかかわらず、菅首相の居座りはもうしばらく続きそうである。ただし民主党の支持率減は避けられない。当然国会運営はいっそう困難になろう。復旧・復興のため現国会は重大な責務を負っている。国権の最高機関の名に恥じない仕事ができるよう、与野党の努力が望まれる。とくに菅首相には野党案丸呑みを含め勇断が期待される。
西岡参院議長が、5月18日、東日本大震災や原発事故への菅首相の対応を厳しく批判し、一刻も早く退陣するよう求める論文を読売に寄稿したり、前記日経等調査で原発事故対応を「評価せず」が74%と4月の前回調査より4ポイント上昇したことが示すように、菅内閣の失政を責め、交代を求める声(「出来るだけ早く」21%、「震災が一段落した後」49%)は大きいが、今は政局どころではないとの見解や急流を渡る途中で乗った馬を変える愚を説く意見も多い。交代後、まさか小沢氏にはなるまいが、どんな後継者が出て来るかも判らない。与党幹部は「不信任案可決なら解散だ」と造反議員を牽制しているが、内閣総辞職になる場合、鳩山・菅と人災と呼ばれる首相を2度戴いた後、「3度目の正直」とならずに「2度あることは3度ある」になる可能性も少なくない。
それにOECD設立50周年式典やドービルG8で数々の公約を行ってきたばかりの菅首相が、与党の内紛で引きずり下ろされるのでは、日本は世界のひんしゅくを買うだろう。民の努力でかちえた日本回復への世界の信頼は、すでに第2次補正予算編成の遅れ等の政治の混迷から揺らいでいるのである。幸い、人気取りばかりで難問はすべて先送りと問題視されてきた、菅内閣の国政担当姿勢には改善の可能性が見られる。官僚の支援が得られれば、能力も増強しよう。すなわち「脱官僚・政治主導」を旗印とし反自民路線を突っ走ろうとした、民主党政権の未熟さはとくに東日本大震災(原発事故を含む)のあと、自覚され、軌道修正が図られているように見えるのである。
実際、内容のない政治主導は反発や無視を生んでいた。昨年9月に起きた沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡るビデオ映像流出事件は、前者(反発)の例である。3月12日、官ではないが現場の福島原発所長が原発1号機への海水注入継続を独自に判断したのは、後者(無視)の例である。「君命に受けざる所あり」(孫子)である。当日ピント外れの言動が注入の混乱を招いたと非難されていた菅首相も、5月28日、「結果としても、注入を続けたことは、間違いでなかった」として、吉田所長の処分は必要ないとの認識を示した。
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