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2011-07-14 16:12
(連載)とにかく、まず被災地の「がれきの処理」を急げ (2)
角田 勝彦
団体役員
実際の復旧面では、インフラ整備中心にかなり進んだ。電気は通じるようになり、道路や新幹線はほぼ復旧した。東北の高速道路網の整備も提言されている。津波で延べ60キロの線路等が流失したJR東の7路線の在来線について、JR東は4月「責任を持って復旧させる」と明言した。なお農林水産省は7月1日、東日本大震災による農林水産業の被害額が2兆1005億円に達したと発表した。うち漁港の被害は7道県の319港で計8千億円を超えた。
被災者の住まいも支援されている。大震災と福島第1原発事故による全国の避難者や転居者は、内閣府発表では6月30日時点で前回集計(16日時点)から約1万3千人減り、9万9千人になった。学校などの避難所が約2万4千人(約7千人減)、親族・知人宅などが約1万9千人(約6千人減)である。一方、公営住宅や仮設住宅に移った人は約2千人増え約3万人となった。菅政権が目標に掲げる「お盆までに希望者全員の(仮設住宅)入居」は、7月初旬の需要計5万583戸に対し、岩手、宮城、福島、茨城、千葉、栃木、長野の7県で計約3万7000戸が完成し、ほか約1万500戸が着工済みとなって、宮城県等の一部を除き、かなり進展している。
復興については、経済再建が重要である。まだまだだが、曙光も見えている。岩手、宮城、福島3県の被災42市町村長への6月の朝日新聞アンケートでは6割余りが「被災者の生活再建の見通しが立っていない」と答えた。基幹産業の農業・漁業の再開のめどが6割前後の自治体で立っておらず、それは原発事故が収束していないためでもある。復興の目標期間は「5~10年」が最多だが「10年以上」もいた。 このような状況から日銀6月短観では、被災地及び全国の景況感は急落していたが、9月予測は3県とも6月より9~17ポイント増の改善になった。大企業を中心に震災で止まった生産が夏以降に一気に復活する見通しが強まっているためである。
生産のみならず復興にはさまざまな生業の振興を考えねばならない。もちろん観光もその一つである。がれきがその大きな障害になるのは明らかである。岩手、宮城、福島の3県から出た2183万トン(推計)のうち、7月上旬までに仮置き場に移されたのは35%の763万トンだけという。 このままでは、がれき処理は長期化が確実である。衛生状態が悪化すれば、観光振興どころではないだろう。目に見える形で被災地の美化が進めば、復旧・復興への活力も出てこよう。国及び被災地は、この際、思い切った一点集中主義で、がれき対策に邁進すべきである。(おわり)
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(連載)とにかく、まず被災地の「がれきの処理」を急げ (1)
角田 勝彦 2011-07-13 19:21
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(連載)とにかく、まず被災地の「がれきの処理」を急げ (2)
角田 勝彦 2011-07-14 16:12
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