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2011-09-13 00:25
外務省は日本経済のかじ取りをせよ
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
先週末に主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)がありましたが、円高・株安の他、財政赤字・デフレ・国内産業空洞化に見舞われている日本の経済政策に、G7の成果はどのように生かされるか興味を持っています。安住財務相は「為替の投機に関しては断固たる措置をとる」とおっしゃたようですが、果たして今の円高は投機筋の仕業だけでしょうか。今回の円高は、投機筋の動きだけでなくユーロ各国や米国が、自国の財政赤字解消策として世界市場へ向けた輸出政策・成長政策をとろうとしている結果だと思います。特に米国の場合、財政赤字と高失業率を解消するため、新たな成長政策を模索しているようです。今まで米国は、国際収支の赤字容認によって消費の面から世界経済の中心として君臨できていましたが、その立場に陰りが見え始め、今後はドル安を前面にして製造業や生産事業を国内に呼び込もうとしているように見えます。
現に、悪名高き代表的投機筋の大型ヘッジファンドなどは徐々に返金縮小の方向に向かわせ、金の投機などに追いやっています。そのためにドル安は非常に好都合です。今後、日本が財政赤字縮小のために増税政策を行えば、増税政策と経済成長は両立しませんので、世界市場のパイを争う立場上、各国にとっては非常に都合がよくなります。いわゆる「近隣窮乏化策」ではなく「日本窮乏化策」によって、うまくいけば世界市場から日本を締め出すことに成功します。だから、日本が期待するような各国との協調政策を、経済政策でやろうとしても、うまくゆきません。
申し上げたいのは、経済外交は世界各国の相互関係性の中で、日本のポジションをどうやって築いてゆくかにかかっています。これは外交政策そのものだと思います。ドメスティックな財務大臣がトコトコ出て行って、何か教えてもらおうとしても、世界経済の実態は誰も教えてくれないでしょう。ここは財務省や中央銀行に任せきりにするのではなく、世界の大勢を知る(はずの)外務省にもっとしゃしゃり出てほしいものです。今後の日本経済のかじ取りは、世界各国の意向や動向・経済事情を把握した上で、グローバルに展開しなければなりません。日本外交は、世界の経済的視点にもっと重きを置き、日本国内の経済政策をリードすべきだと思います。今の時代は、もはや鎖国的視点では、国の経済も国民の生活も成り立たないと考えます。
経済活動というものは、世界と渡り合ってゆかねばなりません。円高防止の為替介入に各国の同意を得ようとしても、心から賛成して協調介入してくれる国はないように思います。それよりも相互関係性をしっかり構築してゆくことが大切で、将来武力でこれを壊す国は、世界の中でやって行けなくすることが、本当の平和外交のような気がします。外交政策には経済政策の視点が欠かせません。たとえば、ロシアとの間の樺太や北方領土の国境画定問題ですら、ハバロフスク近辺も含めてロシアの極東地域を日本の協力によって一大経済発展地区にして、日本との友好的経済関係なくしてやって行けない経済環境を作れば、武力による領土確保を意味のないものにすることも可能かもしれません。
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