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2006-09-24 21:32
「便法」に伴う問題点
小笠原高雪
山梨学院大学教授
角田勝彦氏の9月24日付の投稿に感謝する。「個別的自衛権の解釈拡大という便法が、もっとも現実的解決策であろう」と述べられているが、ここにいう「現実的」とは「手段としての合理性」の意味であろう。したがって、角田氏が上記のように判断されるのであれば、私はそれを一個の傾聴すべき見解として尊重したい。
にもかかわらず、私は「便法」を今後も続けることの望ましさに関して、いくつかの疑問を持っている。紙幅の都合上、ここでは二点に絞って申し述べたい。
第一に、集団的自衛権を明確に認めるような憲法上の措置が大きな政治的コストを伴うことは事実であるとしても、「便法」を重ねることがその都度もたらす政治的コストも相当のものであろう。角田氏は、「『神学論争より地道な努力こそ求められる』という拙論に関し、小笠原氏は同意されつつ『便法はいつまで可能か』という重要な問題を提起された」と記されているが、私がそのような言い方を敢えてしたのは、これまでの「神学論争」の多くは「便法」を重ねるたびに発生してきたものではなかったか、という思いがあったためである。
第二に、「個別的自衛権は可だが集団的自衛権は不可」という立場を日本自身が続けるうちに、「日本に関する限りは集団的自衛権を肯定するか否かが平和主義を継続するか否かの試金石」といった捉え方が定着してしまう可能性はないであろうか。もちろん、今後もあらゆる事態に「個別的自衛権の解釈拡大」によって対処できるのであれば、論理的には問題はないことになろう。しかし将来のことは誰にも予測できない。同盟であれ、国連であれ、およそ集団的な努力なしには現代の安全保障は困難であり、日本もその例外では決してない。「便法」を続けることは長い目でみて果たして賢明なのであろうか。
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投稿履歴
便法は今なお可能である
角田勝彦 2006-09-24 19:32
┗
「便法」に伴う問題点
小笠原高雪 2006-09-24 21:32
┗
「便法」による集団的努力
角田勝彦 2006-09-27 14:20
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