オバマ政権の対中政策については米国内で、シリアやウクライナ問題での弱い態度が中国の冒険主義を招き、中国は米国を「張り子の虎」と見ている、との批判がある。ケリー氏は中国代表団を前に祖父が上海生まれと紹介、中国への親密感をアピールした。官僚が注意深く避けてきた「新型大国関係」(a new model of great country relationship)の言葉を何回も使い、習主席の前で「中国を封じ込めない」「オバマ大統領は強い中国を歓迎する」と言明した。習氏は「我が意を得たり」だろう。オバマ大統領がアジア外交で最も力を入れてきたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が11月に中国を議長国として北京で開かれる。11月の中間選挙で与党民主党が上院でも多数派を失えば、オバマ政権はレームダック化し、中国の主導権が強まることは避けられない。米中関係はほどなく転機を迎える。