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2014-08-21 11:11
(連載1)米WP紙社説の示した見識と米言論界の理性
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
ワシントン・ポスト紙(電子版)は、7月19日付で、バージニア州北部の政治家が、韓国系住民にあまりにも媚び、日韓間での対立事項について韓国寄りの立場を取っていることにつき、厳しく非難する社説を掲載している。この社説は、米言論界が持ち合わせている理性をよく表していると思うので、ご紹介したい。
社説は、冒頭から、「韓国系コミュニティに取り入ることは結構だが、それは、政治家が、歴史家の判断の代替をしようとする場合を除く」と言っており、政治家が歴史問題、それも米国と関係のない歴史問題に深入りすることを戒めることに主眼がある。
そして、社説は、連邦下院バージニア州第10選挙区の、共和党、民主党双方の候補者が、当選した暁に、各州に「日本海」ではなく、韓国が主張する「東海」を併記した教科書を採用するよう働きかけると公約しているのは、韓国系住民が、日系住民の4倍もいるので、そう考えるのかもしれないが、両候補が米国の同盟国である日韓間の論争に首を突っ込むべきであるか、問われるべきである、と指摘している。さすが、かつて、一国の首相をつかまえて「ルーピー」呼ばわりした(それは確かに間違っていなかったが)同紙だけあって、「両候補とも外交問題の専門知識など持ち合わせていない」と切り捨て、日本はバージニア州にとり最大の投資源の一つであると、痛いところを衝いている。
さらに、社説は、同州フェアファクス郡の庁舎敷地内に「日本により性的奴隷とされた女性」を記念する石碑が設置されたことについても疑問を表明し、慰安婦が受けた苦悶と虐待については論争の余地はないが、それでは、他の歴史上の虐待、例えば、英国によるアイルランド人迫害、トルコによるアルメニア人虐殺、14世紀のコソボの戦いにおけるオスマントルコによるセルビア人絶滅についても、フェアファクス郡は庁舎敷地内で記念することに賛成するつもりなのかと、至極尤もな問いを投げかけている。(つづく)
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(連載1)米WP紙社説の示した見識と米言論界の理性
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