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2014-10-29 09:54
(連載2)難局へ向かう安倍内閣に期待するもの
角田 勝彦
団体役員、元大使
現在、今年4月の増税後、デフレ脱却を狙った日銀の量的、質的金融緩和(QQE)の効果もあり、物価の上昇幅が前年比で3%台となり、賃金の上昇が追いつかず、実質賃金の目減りが続いている。10月27日の記者会見で、経団連の榊原定征会長も、足元で消費持ち直しはやや足踏み状態にあるとし、政府が景気下支えのために検討する新たな経済対策は「消費を刺激することをメーンに考えるべきだ」と述べている。
主要各紙の最近の世論調査は、安倍内閣が重視する政策課題に厳しい反応を示している。とくに、2015年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げることには読売、日経、朝日とも反対が70%に達している。ついでながらカジノ解禁法案も読売、日経で反対が約6割に上っている。相乗りのおかげで、自民党は、10月26日の福島県知事選では、滋賀県知事選に続く連敗は免れたが、11月の沖縄県知事選や来年春の統一地方選を控えている。世論を無視するわけには行くまい。
安倍首相周辺では、景気腰折れを懸念し、消費増税延期が優勢になっているとの報道もある。安倍首相が10月19日付フィナンシャル・タイムズ紙に掲載されたインタビュー記事で「消費増税、経済失速なら無意味」と述べたのは、先送りを示唆したと解釈されている。(ただし菅官房長官は20日午前の記者会見で、「(首相発言は)いつも通りで全く変わっていない」とし、先送りの示唆は「全くない」と述べた。)
政府は、来年10月から消費税率を10%に引き上げる場合の影響について、約40人の有識者に意見を聞く点検会合を11月4日から18日まで開催する方針を固めた由である。11月17日に発表予定の7~9月期の国内総生産(GDP)速報値を踏まえた意見も聴取される。お膳立ては整えられたようである。しかし延期となると、また問題である。(経済成長も財政再建もできない)「虻蜂取らず」にならないことを期待する。11月中旬の沖縄県知事選や来年春の統一地方選の動向を含む政局が注目される。(おわり)
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