オーストラリアの大学で演説したオバマ大統領は「アジア太平洋での米国の指導力は常に私の外交政策の基本的焦点である」と述べた。リバランス外交を総括したこの演説で大統領は「同盟国への米国の関与と決意を疑うべきではない」と中国やロシアに警告した。内容は(1)日本など同盟関係の強化、(2)ベトナム、インド、インドネシアなど新興国との協力拡大、(3)地域機構への関与増大。パートナーとなる友好国と協力してASEAN(東南アジア諸国連合)を中心とするEAS(東アジアサミット)を政治・安全保障の「主要なフォーラム(the leading forum)」に進化させる。安倍晋三首相も2015年のEAS10周年に向けて、EASの強化を提案した。そのような態勢を整えつつ、(4)中国との建設的な関係を追求するが、基本的人権など原則では妥協しないことも宣言した。アジア歴訪の最後の日程を7年ぶりの日米豪、および日米首脳会談で締めくくったのは、リバランス外交の最大のよりどころが同盟関係だという明快な事実を象徴している。