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2014-12-09 13:44
(連載1)オバマ外交は弱腰外交か
角田 勝彦
団体役員、元大使
総選挙は1強(与党)多弱(野党7党)の現状維持になりそうだが、来年は、ヘリコプターでお金を撒いてきたようなアベノミクスがもたらす経済社会問題(原発再稼働含む)に加え、安全保障法制整備や日米防衛協力のための指針改訂の課題が待ち構えていることに変わりはない。国際認識が基本問題となろう。とくに最近さかんに論じられている、オバマ外交と「国際秩序の崩れ」をどう認識するかが問題になる。
「国際秩序の崩れ」の主因として、米国オバマ政権の弱腰が指摘されることが多い。米国が世界の保安官として力不足になり意欲も減退したため、米国と世界が危険にさらされていると言うのである。その外的要因として、一方では、クリミア併合とウクライナ危機に見られるプーチンのロシア及び米国との「新しい大国関係」を求める習近平の中国、他方では「イスラム国」に代表される各種過激派組織など(北朝鮮を加えても良かろう)の動きが指摘されている。
しかし、この見解には問題がある。第一は、ソ連崩壊後、米国が唯一の超大国として世界秩序の維持に貢献してきたような状態(主権国家併存体制の延長)が国際秩序のあるべき姿かという問題である。第2は国際秩序の攪乱要因として、イスラム国などとロシアや中国を同一視して良いかという問題である。ロシアや中国は欧米の価値観、とくに民主主義と違った行動原理に動かされているとしても、国家の3要件(領域、住民、政府)はもちろん、外交能力(または国際法遵守能力)を有する国際社会の重要なメンバーなのである。
第一の点について、私は、本欄にも何回が寄稿したとおり、現在、世界で数百年に一度の大変容(ニュールネサンス)が生じており、それも冷戦終焉以降すでに後期に入っていると認識している。基本的変化は、近・現代の基礎となったウェストファリア体制の変更(国家主権の不平等化と内政干渉容認)及び資本主義体制の変化(世界一体化。知本主義へ)で、イラク戦争などの、いわば新しい三十年戦争のあと遠くない将来に、超現代(メタモダン)がやってくるとの考えを持っている。すなわち、この認識からすれば、現在起こっているのは「国際秩序の崩れ」でなく変容なのである。(つづく)
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