アジアの巨星墜つ。シンガポールのリー・クアンユー元首相が3月23日死去した。91歳。中華系を主体にマレー、インド系など多民族の都市国家を独立に導き、政治体制が「権威主義的」と批判されながらも驚異的な経済発展を実現、国際的な金融センターに成長させ、「建国の父」と呼ばれる偉大な存在だった。同国の一人当たり国民総生産(GDP)はアジアNo.1の55,000ドル超で日本をはるかにしのぎ、日本企業の進出は引きも切らない。卓越した識見で世界の指導者から尊敬を集めた。キッシンジャー元米国務長官は「リー氏は米国が中国を含むアジアと基本的で有機的な関係をどのように築くか、という最も重要な課題を明らかにした。彼ほどわれわれに教えてくれる人物はいない」と賛辞を呈した。「リー語録」からその思考を探る。(出典:Allison & Blackwill, LEE KUAN YEW, The MIT Press, 2013)