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2015-04-02 13:50
(連載1)墜落事故、独首相は謝罪したほうがよい
中村 仁
元全国紙記者
ドイツ旅客機の墜落事故は航空史上最も悲惨なできごとになりました。これは精神障害の疑いのある副操縦士による乗客道連れテロでしょう。副操縦士や航空会社の責任を追及してすむ事件ではなく、航空規制当局、さらに独政府の責任も問われる事件です。歴史に残る国家的な惨劇を起してしまったことを、メルケル首相は道義的責任からも国際社会に謝罪する必要があると思います。
イスラム過激派のテロ事件に対しては、メルケル首相も先頭に立って、「テロを撲滅する」、「テロに屈しない」と抗議しています。事件の背景、次元、動機はまったく異なるにせよ、今回の事件は、身内の乗客に対するテロに等しい殺人、殺害事件であり、そのことの意味を踏まえ、首相がわびなければ、過激派テロを批判する資格を失います。
日本のメディアの報道を見ていると、メルケル首相はオランド仏大統領とともに、事故現場に向かい、追悼したという短い記事はありました。正式にきちんと国際社会に対し謝罪したと伝わる報道に、日本ではまだ接していません。副操縦士の周辺、航空会社の安全管理などの捜査、調査が進行中なので、一段落してからと考えているのかもしれません。しかし、状況は、事故原因、衝突にいたる経緯がはっきりしてきており、一段落を待っているような甘いものではありません。
6月上旬にドイツでG7サミット(先進国首脳会議)が開かれます。航空市場の急速な拡大、格安航空会社の安全管理という面では、共通の問題になりえます。ほとんどの航空機事故の責任は航空会社にあり、その国の首脳が謝罪するという必要はまずないでしょう。とはいえ、今回ばかりは、「民間側の問題だ」と素通りできない深い傷跡を残しています。(つづく)
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(連載1)墜落事故、独首相は謝罪したほうがよい
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