毎年8月になると戦争の悲惨さ、原爆の残酷さが語られ、「二度と戦争を起こさない」との誓いが繰り返されているが、戦争は誓いだけで回避されるものではなく、それに向けた具体的な行動があってこそ回避できるものである。日本は戦後70年間平和を享受してきたが、2012年に習近平体制が成立して以来の中国は、鄧小平の唱えた「韜光養晦」を捨てて、A2AD(Anti-Access Area Denial)戦略により東シナ海及び南シナ海への海洋進出を進めており、もはや日本も従来の政策を堅持するだけでは、その安全を確保することが困難になってきている。
敗戦のような日本史上最大の問題に直面した時こそ、その原因究明、責任者の処罰、そして再発防止策を徹底して行うことが必須であり、戦後70年の節目の年にあたり、日本人自らが過去の戦争に真摯に向き合わなければならない。その上で直面する中国並びに北朝鮮の脅威にどう対応していくか、を過去の政策の延長の上ではなく、今日の現実に立脚して考察し、有効な手段を講じることが不可欠である。キッシンジャーによれば「アジアのBalance of Power にはPartnershipが必要」とのことであるが、眼前の脅威に対抗するには軍事のみならず、外交、経済、技術、などの総合力、即ちSmart Powerの強化が喫緊の課題である。終戦を振り返るに当たり、過去を冷静に分析し、学習すると共に、現実を冷徹に見つめ直して、国の総合安全保障を考える時としたい。