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2016-02-10 16:26
先の読めないアメリカ大統領選挙
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
今年は4年に一度のアメリカ大統領選挙の年である。この夏までに民主、共和両党の中でそれぞれ大統領候補が指名され、秋には独立系候補も交えて、50州で一斉に大統領選挙が実施される。前半は「予備選挙」と呼ばれ、各州ごとに順番に予備選挙や党員集会が行われ、候補者ごとの代議員が積み上がって行く。その皮切りが2月1日に行われたアイオワ州の予備選挙。今後の各候補者の趨勢を占う重要な選挙だ。ところが今回は民主、共和両党とも番狂わせが生じた。まず民主党はクリントンが圧倒的に有利と思われていたところ、伏兵のサンダース上院議員が予想外に善戦し、クリントンが勝ったものの、その差はわずか1ポイント以内。引き分けと言っても言い過ぎではない。
そのサンダース候補は自ら社会民主主義者と称し、極端な平等主義を標榜してきた。貧困に喘ぐ若者たちから熱狂的な指示を受けているようだが、彼が大統領になればアメリカの政策が左寄りになり、世界の中でのアメリカの存在感は大きく減少するに違いない。
一方の共和党も、事前の世論調査ではトランプ候補がダントツだったが、蓋を開けてみると、トランプ氏よりさらに保守強硬派のクルーズ氏が勝利した。もともと保守系の強いアイオワで、草の根の活動を続けてきたクルーズに分があったということだろう。このように民主、共和両党とも緒戦とはいえ番狂わせが生じ、今後の展開が読めなくなってしまったのは、懸念材料である。それに加え、アメリカの政治の歴史においても、かなり右寄りとかなり左寄りがここまで台頭し、比較的穏健なクリントンの支持が今ひとつという状況は、もっと懸念されることである。
右寄りと左寄りの共通点は、アメリカを内向きにすること、孤立化へ道を進みかねないことだ。日本をはじめ世界各国は、固唾を飲んて見守るしかない。アメリカ国民の良識に期待するしかない。
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