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2016-04-05 17:31
(連載1)「悪夢の世界」と「核兵器のない世界」
角田 勝彦
団体役員、元大使
このほどオバマ大統領が主宰し、ワシントンで第4回「核安全保障サミット」が開催された。安倍総理を含む世界50カ国余(中国は参加したが、ロシアは欠席)と国際機関の首脳が集まって開催された本会合は、4月1日、核テロの脅威を国際社会への最大の挑戦の一つとし、核物質の管理強化や情報共有を通じて対抗することで一致するとした共同宣言を採択した。
この機会を利用して3月31日行われた日米首脳会談でも、安倍総理は、オバマ大統領に対し、G7伊勢志摩サミットの議長国として、世界経済とテロが最大のテーマとなると述べている。3月のベルギー連続テロの容疑者が、原子力施設の技術者を監視していたとみられることもあり、過激派組織「イスラム国」(IS)等による核テロの具現化が危惧されているのである。
核テロの可能性と同様寒気を感じさせるのは、米マイクロソフトが開発し、実験中だった人工知能が、ツイッター上でヒトラーを肯定したり、人種差別的な言葉を発したりし始め、MS社が、3月24日、しばらく実験を中止することを明らかにしたというニュースである。囲碁で世界最強棋士を破るに至った人工知能が人間の倫理に縛られない発展を遂げる可能性が明らかになったのである。
核テロと暴走する人工知能は、どちらも人類が経験したことがない「悪夢の世界」をもたらす可能性がある。これまでのように米中対立のような軍事的安全保障のみにかまけた議論をしていては済まないだろう。「核安全保障サミット」は、2009年4月のプラハ演説で「核兵器のない世界」を掲げたオバマ米大統領が提唱し、2010年に始まった。世界各国が連携して、核兵器の製造に適する品質の核物質であるプルトニウムやウランなどが核テロに使われないように安全や保全を確保し、その維持と管理を厳格に行うことを目的とする。2年に一度開催されてきたが、今回が最後で、今後は国際原子力機関(IAEA)を中心に論議が行われる。(つづく)
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角田 勝彦 2016-04-05 17:31
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