一方、トランプは早々にTPPを離脱し、多国間ではなく2国間のFTAを模索すると共に、NAFTAの改訂にも着手し、「保護主義色」を強めつつある。その中で我が国がEUとのEPAに「大枠合意」し、米国抜きのTPP11の推進を開始たことは朗報である。カナダは既にEUとFTAを締結しており、日本、EU、カナダ等の自由主義陣営が自由貿易を堅持し、自由主義のルールに基くRCEP、そしてFTAAPへと繋げ、引き続き米国の自由貿易への回帰を説得し続けることが肝要である。それと同時に、自由貿易のもたらす負の側面、即ち競争に敗れた敗者に対する支援、並びに現在自由主義圏の多くで顕著な富の分配の著しい不公正さの改善が重要な課題である。本来「アメリカン・ドリーム」とは「子供の世代が親の世代よりも豊かになる」ことのはずであったが、過去20年間むしろ逆の傾向が明らかになり、ごく一部の人間が「億万長者」になる一方、大多数の国民が貧困に喘ぐようになり、大統領選挙においても「1% vs 99%」が大きな問題となった。