中国経済が益々統制色を強めている。中国政府はリーマンショック後の翌年4兆元(約56兆円)の財政出動を行ったが、これがその後の中国経済減速の元凶となった。すなわち、国有企業の負債の増大、過剰投資による過剰設備、民営企業の買収「国進民退」、並びに国有銀行の資産の悪化をももたらし、市場の力を減少させることとなった。市場経済であればかかる企業はリストラ、ないしは倒産により淘汰されるものであるが、中国では逆に大型国有企業の統合が相次いだ。宝山製鉄所と武漢製鉄所、中国遠洋と中国開運、中国電力投資集団と中国核電などがその例である。言わば”too big to fail”を狙ったものであるが、国有企業には特にガバナンスの欠如という致命的な欠陥がある。自由主義世界のM&Aでは「1+1」が2以上になることが必須であるが、合理化を伴ず透明性の欠如した国有企業の合併は経済合理性に反したものとなる公算が大である。