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2019-01-19 08:48
(連載2)問題は日韓関係ではなく韓国自身にある
松川 るい
参議院議員(自由民主党)
日本外交にとって朝鮮半島が重要であることに変わりはない。福岡と釜山はフェリーでたったの3時間の距離であり、かくも近接した場所に敵対的な国がいては面倒に決まっている。特に、狭い海を隔てて国境を接する韓国には、友好国でなくとも少なくとも敵国にはなってもらいたくない。しかし、その重要性は、海路でしか他国と行き来できなかった8世紀と比べれば格段に落ちている。韓国が敵国にならないことを確保するための一番の上策は、米韓同盟がきちんと機能しているということである。しかし、そもそも朝鮮半島が一体米国にとってなんの価値があるのだろうか、という極めて正当な疑問を抱くトランプ大統領自身は、在韓米軍など縮小撤退しても構わないと思っている。残念ながら、マティス長官の退任もあり、在韓米軍縮小撤退の危機は益々現実味を帯びている。残念ながら、日本は、その可能性も念頭に対馬を含め対朝鮮半島防衛を考えざるを得なくなるだろう。北極海が溶れば、いずれにせよ、日本海はシーレーンとなるのであり、対馬はそのど真ん中に位置することになる。対馬防衛の重要性が益々上がる。そのような観点からすれば、私は北朝鮮について、日本が独自に協議を行うことは十分ありだと思っている。北朝鮮の核放棄は益々遠のいているが、プランBは北朝鮮が親中であると同時に親米になることである。日本も直接北朝鮮との交渉を進めるべきだ。日本は、北朝鮮と友好関係を構築することを目指すべきだ。無論そのためには、大前提として、拉致問題の解決、核問題の一定の解決を含め米朝関係の改善が必要である。韓国と異なり、金日成は日本軍と戦ったことがある。したがって、北朝鮮は反日であろうが、韓国に比べればねじれたトラウマは日本に対して持っていないので、将来についての関係改善は条件が整えばより心理的には容易ではないかと思う。
いずれにせよ、になるが、日本外交全体を見渡し時に、日本にとって、最大の課題は、同盟国米国のパワーが相対的に落ちる中で、中国という巨大で強大な隣国からの脅威をやり過ごし、国家の安寧と繁栄を維持するかということであり、朝鮮半島は重要ではあるが一部に過ぎない。しかも、朝鮮半島国家は、自立的に物事を決めることが難しい地政学上の状況(国のサイズと地理)にあり、朝鮮半島にリソースをつぎ込んでもリターンは極めて心もとない。朝鮮半島は、常に中国やロシア、日本という大国に挟まれ、事大主義的にその立場を変えてきた場所であり、朝鮮半島に何か大きな期待をすること自体が間違っている。大国のパワーの増減に合わせて立場がころころ変わるのは朝鮮半島国家の宿命なのだ。むしろ、押さえるべきは、米中ロという地域大国との関係である。そのために必要なのは日米同盟を基軸としたインド太平洋戦略であり、中国、ロシアとの関係改善である。したがって、日本は、限られた外交リソースを「ムンジェインの韓国」に余りつぎ込むべきではない。どこにどう転んでもプラスにならない。誤解されては困るが、韓国に迎合せよということではない。むしろ、ICJへの提訴だろうとレーダー照射事件の反論であろうと「徴用工」問題における対抗措置であろうと躊躇なく実施すべきだ。ただし、それらは、韓国(ムンジェイン政権)が「異常だ」ということが示せればよいのであって、多大な外交リソースをつぎ込まないように留意すべきだ。どうせムンジェインの次でなければ解決は困難なのだから。
むしろ、日本がやるべきことは、日米関係を主軸にインド太平洋戦略を充実させ、価値と戦略的利益を共有する多くの国との連携を強化することであり、対中関係、対ロ関係を改善することである。外交リソースとは、限られた数の外交官・外務官僚の24時間の時間の使い方(使わせ方)であり、外交予算であり、日本の持つ国際的信用力である。日本外交の中で韓国の占める割合が相対的に小さい状態の方が日本の国益だと思う。日本が軍事的に外交的に経済的に強くなることである。TPPや日EU・EPAはその意味で大変素晴らしい。インド太平洋戦略を米国の方針とさせたことも秀逸だ。あとは、日本が強くなることである。強くなる方向にあるという見通しを示すことが全てだ。つまり、防衛力を格段に高め、若者がイノベーションを起こせる環境を整え、少子化を克服して、日本が将来とも繁栄するのであろうという将来見通しを世界に示すことである。 朝鮮半島国家は、常に強い国の言うことしか聞かない。
本年は、1919年3月1日という韓国が「建国日」(本来の建国日は、1948年)と変更したいと考えている反日デモ行進、3.1運動から100周年記念の年であり、反日をアジェンダに南北朝鮮が融和を図ることも想定される難しい年である。ムンジェイン大統領の間は、日韓関係は悪くなることはあれど良くなることは期待できない。旧朝鮮半島出身労働者問題は、上手くハンドルしないと(といっても日本だけ努力しても限界があるが)第二の慰安婦問題となってしまう可能性がある。私は、韓国については、ムンジェイン政権の間は、冷めた透徹した外交(解決を急がない)を期待したい。最後に、これも冒頭の繰り返しになるが、一般の韓国人が反日というわけでもない。多くの良識ある韓国人は北朝鮮にかしずくかのようなムンジェイン政権を憂えている。ムンジェイン政権は諦めても、韓国自体を将来に渡って諦める必要はない。朝鮮半島については、期待せず、多大なリソースをつぎ込まず、大国関係を固め、地球儀を俯瞰する日本外交全体の中でできるだけマージナライズ(辺境化、最小化)し、政府間関係ではなく一般の韓国人を主人公とした関係に注力するのが上策だ。(おわり)
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(連載1)問題は日韓関係ではなく韓国自身にある
松川 るい 2019-01-18 19:39
(連載2)問題は日韓関係ではなく韓国自身にある
松川 るい 2019-01-19 08:48
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