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2019-06-06 11:33
(連載2)トランプ大統領のロシア疑惑ー米中ロの三国関係
倉西 雅子
政治学者
ソ連邦の独裁者であったスターリンは、連合国陣営に加わった方が軍事力を以って周辺諸国を共産化、否、自国の勢力範囲に組み込むことできると計算したのでしょう。実際に、戦勝国として迎えた戦後にあって、東側陣営の盟主の地位を得たわけですが、ロシアは、自らの主義主張とは関係なく、その時々の損得勘定で自らが得をする方を選んでいるとしか言いようがなく、ロシアの行動原則は、自己中心的なご都合主義なのです。
もっとも、こうした同国の日和見的で打算的な性格は、英仏等の自由主義国内に潜む財閥系の国際組織との関係からもたらされたのかもしれず、ロシアの伝統的な国柄であったのかどうかは定かではありません(もっとも、モンゴルの支配を受けた期間が長いので、その騎馬民族的な性質を受け継いでいる…)。何れにしましても、米中対立が激化する今日にあっても、ロシアは、最終的にどちらの方向を向くのか、あるいは、どちらの陣営に与するのか、予め予測することは難しいのです。
つまり、‘敵の敵は味方’の要領でロシアとの関係を改善しても、ロシアは、必ずしも‘味方’であり続けるとは限らず、常に、‘寝返りリスクを抱える国’として警戒するしかありません。ロシアには、道義も信義も通用しないのですから。そしてこの側面は、共産党一党独裁国家である中国にも言えることなのです。
トランプ大統領のロシア疑惑については、中国の関与、即ち、米中ロの三国間の関係として考慮すべきですし、ロシアの国柄やその背後関係を理解すればこそ、日米両国ともに、対ロ政策には慎重にならざるを得ないのではないでしょうか。(おわり)
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(連載1)トランプ大統領のロシア疑惑ー米中ロの三国関係
倉西 雅子 2019-06-05 13:06
(連載2)トランプ大統領のロシア疑惑ー米中ロの三国関係
倉西 雅子 2019-06-06 11:33
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