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2019-07-30 11:48
(連載2)今次参院選の結果をふりかえって
加藤 成一
元弁護士
今回の参議院選の結果、注目されるのは前参議院議員山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」の躍進である。同氏の政策は、「消費税廃止」など、多分に「左翼」ポピュリズム的色彩が強いが、今回、比例で228万票(4.55%)もの得票を得た。この得票は、自公政権に対する批判票や不満票もあろうが、「左翼」であるからこそ、主として野党支持層及び無党派層の票が中心と考えられる。なぜなら、日本共産党は前回2016年の参議院選比例の得票数601万票(10.74%)から、今回の比例448万票(8.95%)へと実に153万票も減らし、得票率も低下し、議席も後退させているからである。
したがって、「れいわ新選組」の躍進は、それが「左翼」である限り、今後も野党間での激しい票の奪い合いになり、野党間での票を一層分散させ、多党化を促進するであろう。よって、自民党安倍政権への脅威とはならず、今後、「れいわ新選組」が大きくなればなるほど、安倍政権にとって有利に働くのであり、冷厳な政治的リアリズムからすれば、むしろ歓迎すべき現象であると言えよう。
今回の参議院選の結果、自公維新の参議院でのいわゆる改憲勢力は160議席を確保したが、3分の2である164議席には達せず4議席足りない。しかし、公明党は従前からいわゆる「加憲」の立場であるが、安倍政権が目指す9条改憲には消極的ないし否定的であり、公明党を改憲勢力に加えることには大いに疑問がある。また、日本維新の会も9条改憲には必ずしも積極的とは言えない。このように考えると、9条改憲は容易ではないと言えよう。
その最大の原因は、何よりも「自衛隊の合憲性」については、すでに歴代自民党政権によって「解釈改憲」がされており、共産党を除く全野党及び日本国民の9割前後が自衛隊を合憲であると認めているからである。したがって、自民党安倍政権としては、憲法9条の「解釈改憲」では到底解決できない日本の安全保障上の死活的な重要問題を具体的に提示し、9条改憲の必要性について、主権者である日本国民の理解を得る努力こそが必要不可欠であると言えよう。(おわり)
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(連載1)今次参院選の結果をふりかえって
加藤 成一 2019-07-29 10:28
(連載2)今次参院選の結果をふりかえって
加藤 成一 2019-07-30 11:48
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