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2020-04-15 18:36
(連載2)特殊なコロナ禍にはベーシックインカムで対応せよ
松川 るい
参議院議員
北海道で感染第二波が確認され、再度緊急事態宣言を知事は行った。一旦、感染収束に成功したと思っても、他地域で感染が広がっていれば、また人の移動に伴って第二波、第三波がやってくることを如実に示している。これは世界で各地域が順を追うように感染移動し広がっていることを考えれば、一旦、ある国で感染収束に成功しても、世界のどこかで感染が広がっている限りは第二波、第三波の可能性があり、そのための対策を怠ってはならないということを意味する。コロナとの戦いは、ゲリラ戦を日常的に戦いながら時々国家間の正規な戦闘行為が必要になるスタイルの「長期戦」になるのだろう。
日本人は、そもそもコロナをそこまで怖いと思っていない。欧州ではまさに「第3次世界大戦」という感覚で、たとえばロンドンで殆ど道に人が見られないのは、当局が強制的に規制しているからだけではなく、「死の恐怖」から外出をできるだけしたくないと個々人が感じるからだそうだ。日本について、イギリスも米国も、3週間前は自分たちもそうだった。接触8割減が実現できなければ、日本も遠からず欧州のようになるだろう。つまり、指数関数的に感染爆発して医療崩壊し死者が激増するのではないかとみている。この見方は間違っているだろうか。そうあって欲しいが、そうでないかもしれない。多くの日本人が信じている「日本は特殊」信仰が足を引っ張ることにならいか心配だ。先が不明な時はパスカリストになるべきだ。パスカルは、「神は存在するかどうか」という命題について、「神がいるとすれば、善行を積むこと。天国にいける。神が仮にいなかったとしても、善行を積むことはマイナスにはならない。したがって、神がいるかどうかわからない場合の合理的行動は、神が存在すると思って行動することだ」という趣旨を述べている。日本は、医療水準も一般公衆衛生レベルも世界最高水準、病床数も世界一だが、感染症対策可能な病床数でいえば日本はイタリアの半分だ。コロナに限っていえば医療キャパは大して高くない。今日もニュースで各地の院内感染が報告されている。感染があった病院はしばらく閉めたり、感染したり濃厚接触の医師スタッフは当然隔離になる。医療崩壊は始まりつつある。BCG打ってるからとか、距離間ラテンじゃないからとか、実は人種的に強いとか、いろんな日本の特殊性により、「日本は感染爆発しない」とか「感染爆発しても重症化しにくいとか死亡しにくい」説については確証がない以上、「日本だって感染爆発させたらイタリアやイギリスみたいになる」と思って対策することが必要だ。
コロナ後の世界は、デジタル経済での勝者が勝者になる世界だ。日本は、マイナンバーカードも普及しておらず、テレワークも5.6%。シンガポールだけでなく、マレーシアだってインドネシアだって、オンライン授業をするという世の中。東南アジアではGRABでタクシーをオンライン確保するのが当たり前。コロナ危機の機会に、日本が周回遅れになっているデジタル化とデジタル化の恩恵を十分に享受するための基礎インフラに当たるマイナンバーカード普及を劇的に進めるべきだ。そうでないとコロナ後の世界で日本の立ち位置が後進国と化していないとも限らない。
日本政府は、緊急事態宣言を出したとはいえ、社会経済の機能を維持したままウィルスを終息に持ち込む方針のようだ。1年も2年もかかる長期戦だと思えば、その発想もわからないではない。けれど、5月6日までの期間は8割接触削減するというのであれば、それが可能な対策を取らねばならない。ライフラインに関わらない店や事業は5月6日までは生活は保障して閉めるようにお願いするべきだ。現金直接給付の対象は一律が望ましいが、それはちょっとということであっても少なくとも現在の30万円現金給付の対象範囲は狭すぎる。みんな毎日の生活が大変なのだ。不安で自粛するのだって大変なのだ。即刻追加的に大半の人がカバーされる個人の直接現金給付が必要だ。実現できるよう取り組んでいく。これがベーシックインカムになっても構わないではないか。コロナ後は従来の延長線の世界ではないだろうし、コロナ危機の期間というのはいってみれば社会実験をせざるを得ない特殊期間なのだから。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)特殊なコロナ禍にはベーシックインカムで対応せよ
松川 るい 2020-04-14 23:16
(連載2)特殊なコロナ禍にはベーシックインカムで対応せよ
松川 るい 2020-04-15 18:36
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