何も難しいことはない。余計なことに、テレビのタレント「専門家」や肩書不明の煽り「専門家」の話などを聞くから、頭が混乱するのである。カリスマ「専門家」のご神託ではなく、自分で数字を見て重要なことだけを考えれば、プロセス管理の問題は解決する。もちろん、実際に解除段階になってきたら、解除後にも感染防止を図っていくための意識喚起などが、追加的な措置として必要になるだろう。大阪府には、どんどん独自に過去の集団感染の事例を分析したりして、効果的な注意喚起を図っていってほしい。
さて、大阪府のトレンドを見てみたい。累積感染者数(当該週新規感染者数)と、それぞれの前週と比した増加率である。
4月28~5月4日: 1,679人( 158人): 1.10倍( 0.69倍)
4月21~27日: 1,521人( 226人): 1.17倍( 0.49倍)
4月14日~20日: 1,295人( 460人): 1.55倍( 1.13倍)
4月7日~4月13日: 835人( 407人): 1.95倍( 1.91倍)
3月31日~4月6日: 428人( 212人): 1.98倍( 2.58倍)
3月24日~30日: 216人( 82人): 1.61倍( 3.15倍)
本格的に緊急事態宣言の効果が出て新規感染者数が減少し始める4月中旬以降の大阪府の新規感染者数の減少率には、東京よりも勢いがある。東京都では7日(当該日+前後3日)移動平均でピークに達したのが、4月11日で、平均値160であった。5月1日の東京都の7日移動平均値は101なので、5月4日現在の新規感染者数はピーク時の63%である。大阪府では7日移動平均でピークに達したのが、4月17日の65であった。5月1日の7日移動平均値は22なので、5月4日現在の新規感染者数はピーク時の34%まで下がっている。東京都の人口は約1,395万で、大阪府の人口は約882万人なので、この一週間の新規感染者数は、人口1万人あたりで、東京都が0.44人なのに対して、大阪府が0.17人である。明らかに、東京よりも大阪のほうが良好な状態にある。実は財政的に豊かな東京のほうが自粛に伴う補償インセンティブを用意できていた。それにもかかわらず、緊急事態宣言期間における成績が大阪府の方が優れていることには、注目すべきだ。
大阪府が、東京都よりも先に、出口戦略を示すのは、妥当である。この一週間の新規感染者数で東京都は全国の37%以上を占めてしまっており、東京都の動きの鈍さが全国的な減少率を鈍らせてしまっている。仮に東京が大阪に追随しなくても、他の都道府県は、「大阪モデル」を取り入れるために、よく研究するべきだ。すでに全国的に注目されている吉村洋文大阪府知事に、さらなるリーダーシップを期待したい。「大阪モデル」が「日本モデル」になる大きな潜在力がある。(おわり)