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2020-06-11 21:40
(連載1)コロナ対策における自衛隊の貢献を正しく知ろう
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
相変わらずテレビでは、拙稿「空港での検疫厳重化こそが死活的国益」(2020年5月23日付、e-論壇「百花斉放」)でも取り上げた「54兆円全国民PCR検査」を推進する有識者の面々を度々起用している。目先の視聴率欲しさに、重宝しているようだ。
本来、160万人以上の感染者数をベースに検査するアメリカと、1万6千人の感染者数をベースに検査をする日本とで、検査総数に差があったとしても、何も不思議ではない。また、消費税30%以上が持論の経済学者が唱える54兆円全国民検査が危険なのは、陽性判定漏れが防げず、検査に時間差ができるので意味がないのにもかかわらず、費用と感染リスクが膨大であるためでもある。クラスター対策だけでなく、空港検疫を徹底するという戦略的な検査体制の確立から注意をそらしてしまう点でも、いっそう阻害的だ。
なぜマスコミは、内容を変えながらひたすら当たらない予言を唱え続ける特定の有識者などを重用し続けていて、たとえば自衛隊の感染拡大抑制に対する貢献などについては、全然伝えようとはしないのか?3月下旬が増加率のピークだった日本の新規感染者数の拡大の背景に、欧米諸国からのウイルスの流入があったことは、すでに研究で確かめられている。したがって4月以降の増加率の減少に、入出国の規制が大きな効果があったと考えるのが当然である。ただし、3月下旬以降も、帰国者らの日本への入国は、限定的な形で継続していた。全員のPCR検査を実施したため、一時期は検査結果待ちをする人々が空港で段ボール箱のベッドに宿泊していることが、大きな話題となった。
この窮状を救ったのは、自衛隊である。3月28日から成田空港・羽田空港において、自主派遣された自衛隊員たちが、水際対策強化にあたった。自衛隊員たちは、検疫支援(PCR検査のための検体採取)や、検査結果を待つ人々の宿泊施設への移動支援などにあたった。一時期は280名体制で、ようやく5月半ばから業者等に引継ぎを行って、段階的な撤収に入るまで、危機的だった日本の空港検疫を支えた。(つづく)
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空港での検疫厳重化こそが死活的国益
篠田 英朗 2020-05-23 22:15
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篠田 英朗 2020-06-11 21:40
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篠田 英朗 2020-06-12 20:17
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