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2021-07-09 11:00
(連載2)中国共産党、建党100周年、そして2022年へ
葛飾 西山
元教員・フリーライター
そうすると残るは(3)となる。68歳未満の国務院総理・李克強は常務委員に残るであろうが、前総書記でかつ軍系のポストを握り、また監察系の部局を掌握していればその発言力は極めて重いものとなろう。新たな常務委員を自派で固めれば影響力は行使し続けられる。私は軍もさることながら監察系の人事がキーになると考える。習近平のこの10年の治世ではまさに監察をフル稼働させて党員の折衝与奪を握り続けた感があるからである。特務機関出身のプーチン大統領の例でも分かるとおり、敵・見方全ての人間の情報を握っている者が権力を掌握すると、誰も手を出せない。情報をビッグデータとして握ることは現代政治の帰趨を左右する。中国共産党は最先端の情報テクノロジーで人民の情報を掌握しているが、それは党員の情報を掌握していることでもある。
とはいえ、現代政治は歴史学と違い、水面下でどのような闘争が繰り広げられているのか、その動向が局外者には全く見えない。まさかかつてのように大字報や文芸論争が闘争の火蓋となることは今の時代では期待できない。党大会の前に北京から党幹部・長老らが姿を消して北戴河に集まっても、実際のところは何も分からない。
ただこの先、ある程度の輪郭はおぼろげながら見えてくるかもしれない。先述の松本修氏が頻繁に政治局員の微細な動向をレポートしておられるが、そうした動向リサーチの蓄積を通じて、行動や扱いの微妙な変化が兆候となって見えてくるかもしれない。これは情報収集の基礎的手法であるが、しかし簡単なようで、トレーニングを積んでいなければ、なかなか時系列的に日々大きな変化のない微細な情報を積み上げてゆくことは難しい。かの国では些末な会議や学習会であっても、それを誰が「主弁人」となって仕切るかが次の政治変動の下地になっていることがよくある。そのため微細な情報の積み上げがかの国の内部の変化を読み取る重要な方法となる。
こうした現代政治の情報を専門とする方々の気の遠くなるような作業は、到底、真似できないので、私はその余滴を掬いながらあれやこれやと過去と照らし合わせながら考えを巡らすしかないのであるが、これから1年は特に現代政治リサーチャーのレポートから目が離せない。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)中国共産党、建党100周年、そして2022年へ
葛飾 西山 2021-07-08 21:08
(連載2)中国共産党、建党100周年、そして2022年へ
葛飾 西山 2021-07-09 11:00
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