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2021-09-17 10:24
(連載2)新型コロナウイルスの起源問題への日本の無関心
袴田 茂樹
日本国際フォーラム評議員/青学・新潟県立大学名誉教授
共和党の対応
この民主党政権の「情報コミュニティ」の報告要旨と正反対の立場で新型コロナ発生源に関する報告書を8月2日に発表したのが、米下院外交委員会のマイケル・マコール議員だ。彼は同委員会委員長補佐官で委員会の共和党議員のトップだ。この報告書は同委員会の共和党議員たちがまとめたもので、コロナウイルスは武漢ウイルス研究所から流出したとの立場に立っており、「われわれは発生源が海産物市場との見方を完全に否定すべき時期に来たと考えている」「遺伝捜査されたコロナウイルスが武漢ウイルス研究所から流出した」「武漢ウイルス研究所は中国人民解放軍と深い関係がある(バイオ兵器の研究と関係がある)」「中国が初期感染者のデータを隠蔽した証拠は明確だ」といった論に立っている。
そしてマコール議員は、これらを裏付ける議論の余地のない多くの証拠があるとも述べている。詳しい内容の紹介は古森義久氏の『月刊Hanada』(2021年10月号)、飯塚真紀子氏の「YAHOOニュース 2021年8月9日」などに紹介されているので省略する。また、世界保健機構(WHO)のこの問題に対する対応は、当初は中国擁護の姿勢が強かったが、やがて中国が調査に余りに非協力的なことを批判するようになった。WTOは第2回目の調査を拒否されたからだ。
結論として私が述べたいことは、最初に述べたことと重なる。つまり、新型コロナウイルスの起源を解明することは、今後同様の問題が生じた時への対応のためにも不可欠の科学的使命である。しかし、わが国ではコロナウイルス問題で政府も自治体も、また政治家もメディアや国民も、大きく騒いでいるが、その起源についてはほとんど関心が向けられていない。その理由は明白である。今回のコロナ患者の発祥の地である中国が事態解明のための協力を一切拒否し、起源の解明という科学的問題を誠実な意図から持ち出しても、そのこと自体を、「悪意のある反中国の政治行動」と決め付けるからだ。
日本人の一般的傾向だが、例えば国際社会で、話し合いでは到底解決できない尖鋭な対立が生じても、自己の主張は明確にせず様子見をし、各国の対応を眺め、事態がある程度落ち着きを見せた段階で、仲介役を買って出る。あるいは尖鋭な対立が生じた時には、どのような結果になっても良いように、両者に保険をかけ渡りもつけておく。日本学術会議は医学研究の面でも中国と何らかの協力をしていると思われるが、本稿で論じた問題を中国側に提起した研究者がいるとは、到底思えない。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)新型コロナウイルスの起源問題への日本の無関心
袴田 茂樹 2021-09-16 19:50
(連載2)新型コロナウイルスの起源問題への日本の無関心
袴田 茂樹 2021-09-17 10:24
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