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2021-10-21 09:01
(連載2)立憲の「容共」の是非も総選挙の重要争点だ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
選挙協力を通しての立憲民主党に対する共産党の影響力の拡大は否定できず、これが共産党の統一戦線戦略の狙いでもある。この点で、上記芳野新会長の危機感も理解できるのである。また、仮に、共産党の票田ありきで政権交代が実現した場合には、立憲民主党は、新政権を維持継続するため、「閣外協力」とはいえ、重要法案の成立のために、共産党の協力を必要とするから、新政権に対する共産党の影響力は格段に増大する。すなわち、共産党が「閣外協力」を通じて、新政権に対し「生殺与奪権」を握ることになる。
さらに、共産党は、自衛隊違憲や安保条約廃棄などの基本政策は政権に持ち込まないと主張するが、立憲民主党も認めるミサイル防衛体制強化のための防衛予算や自衛隊の充実強化のための防衛予算にも、果たして共産党が賛成するかは極めて疑問である。仮に、予算案や重要法案が共産党の意向次第で成立しない可能性が出てきた時点で、立憲民主党は国会の過半数を失い政権が崩壊する事態まで想定しなければならなくなる。このように、外交安全保障など、国の存立にかかわる基本政策において、根本的に立場が異なる共産党との「閣外協力」には、そもそも無理があり、そのような共産党と「閣外協力」する立憲民主党の安全保障政策にも不安が生じる。
立憲民主党の枝野代表は、共産党志位委員長が強く望む限定的な「閣外協力」に合意し、その結果、多くの小選挙区で共産党が候補者を立てず、200以上の小選挙区において立憲民主党公認候補者への一本化が実現したので、政権交代を声高に叫んでいる。しかし、このアプローチで政権交代をした場合、立憲民主党自身がどう言おうと、実態として新政権は明らかに「容共政権」とならざるを得ない。
したがって、今回の総選挙は、立憲・共産の「容共政権」の是非も重要な争点である。その際、有権者は、前述の拙稿の通り、立憲民主党が「閣外協力」する共産党の戦略について十分に考慮した上で投票する候補者を決めるべきである。(おわり)
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(連載1)立憲の「容共」の是非も総選挙の重要争点だ
加藤 成一 2021-10-20 19:24
(連載2)立憲の「容共」の是非も総選挙の重要争点だ
加藤 成一 2021-10-21 09:01
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