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2021-10-26 17:00
(連載2)自民党と社会党の1960年体制
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
このようにして保守政党と革新政党による二大政党制の良い面が健全に機能せず日本の国政が劣化してしまったのが1960年体制でした。こういう状況は良くないという勢力が出てきて政界再編へと向かい、新進党が出来、そこに民社党が合流していくという流れができました。選挙制度改革も行われ小選挙区制など工夫がされていくわけですが、それはそれで弊害が出てなかなかうまく行きません。
ただ、このように国政が理想に近づかないのは民主主義国家、法治国家である以上仕方がないことでもあります。駄目になったところをちょっとずつでも直していくことを繰り返していくしかないのです。とはいえ、当事者である政治家、国会議員、政党の自浄能力に期待するのは本質的に難しいもので、我々国民が世論の力で直していくように仕向けていくことが求められます。
さて、今日日の話に戻りますと、1960年体制はとっくに崩壊しましたが、現在の自公政権と野党勢力の関係性は、1960年体制と性質的に近いように感じます。立憲民主党が政権交代を見据えた政策を整えて、その政策遂行能力に対する信頼感が国民の間で醸成されるような状況にあれば、自民党も自党の在り方に正面から向き合う必要があったはずですが、反自民票を確保することに注力しすぎて、政権獲得を狙えるほど国民の支持を集められない。自民党としては万々歳なわけです。例えば、立憲民主党が、拉致被害者のために自衛隊を活用すべきだ、とかいってくれれば、拉致問題に関する議論が選挙戦で深掘りされて、見方も変わるんじゃないかと思うのですが。下野した当時、自民党も政権を奪還するという強い意欲があったため、いい意味で緊張感がありました。あのときに自民党が見せた振る舞い、緊張感が、本来与党にも野党第一党にも常にあるべきですが、現在の自民党も立憲民主党もそれぞれの位置で長く過ごして劣化してしまっていると言わざるを得ません。
とはいえ、かつて民社党で活動した身からすると、どの政党も党員はそれぞれみな一生懸命自党の問題を解決しようと努力しているもので、外側から「自民党しっかりしろ」というだけというのはどうかと思います。そんなに不満があるのならば入党して中から変える取り組みに加わってほしいと思ってしまうくらいです。何れにせよ、民主主義国家において政治の劣化は有権者の責任です。総選挙が行われるにあたり、拉致問題を始めとして、外交問題、経済問題など様々な国政の問題を解決するために、国民ひとりひとりが有権者としてしっかりしなければいけません。そして、駄目なところを直していこうという国民の声を集めて国政を動かしていくことに尽きるのではないかと思います。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)自民党と社会党の1960年体制
荒木 和博 2021-10-25 16:47
(連載2)自民党と社会党の1960年体制
荒木 和博 2021-10-26 17:00
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