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2022-01-27 19:15
(連載2)ウクライナ情勢が他人事でない理由
松川 るい
参議院議員
とはいえ、私が目下最も懸念しているのは、昨年末に緊迫化したウクライナ情勢です。これは、単にロシア対ウクライナ、ロシア対米国・NATOということではありません。仮にロシア軍がウクライナに侵攻することとなれば、事態を抑止できなかったとして、米国のリーダーシップにアフガンの比でない悪影響が出ることは必至です。ウクライナ情勢の推移いかんでは、中国が台湾や尖閣諸島に対してどのような行動に出るかにおいて、大いに影響することとなるでしょう。
習近平国家主席は、アメリカには二正面作戦はできないと踏んで、台湾に対する圧力強化の好機と見るかもしれません。中国自身は、今後北京オリンピックや共産党大会を控えるなど、タイミング的には今一と思われるので軍事行動の挙に出るとは思いませんが、米国のリーダーシップの退潮と見て、台湾・尖閣に対する圧迫を益々強めるかもしれません。
また、バイデン政権自身は、世界での「不要な」軍事リソース分散を避け対中戦略に集中したいとの一貫した政策があるものと思いますが、軍事的にウクライナ情勢が深刻化すれば、米国の政治・軍事リソースを割かざるを得なくなりますので、結果的に、東アジアに対する政治・軍事リソースが減ってしまうことに繋がります。
その意味で、軍事オプションがないとバイデン政権が最初から示唆してしまったことは戦術としては不適切であったと思います。もちろん、ウクライナがNATO加盟国でない以上、米国にもNATO諸国にもウクライナに対する防衛義務はないので当然といえば当然ですが、ちょっと戦術的にはどうなのかなと。アフガンの時も「撤退する」と早く明確に言い過ぎたことでタリバンのカブール陥落が誰もが予想できない(もしかしたらタリバン自身も)くらい早く進んでしまい、関係者の脱出がままならなくなってしまいました。外交のプロが揃っているはずのバイデン政権にしては、最近の行動は「雑」な気がしています。(つづく)
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