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2022-02-09 00:33
(連載2)日本共産党と同舟するのはあまりに不合理
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
マルクス・レーニン主義とは、共産主義革命のための思想と行動であり、その核心は「暴力革命」と「プロレタリアート独裁」(「労働者階級独裁」)である(レーニン著「国家と革命」レーニン全集25巻参照)。しかし、マルクス・レーニン主義の核心である「暴力革命」(「敵の出方論」を含む)と「プロレタリアート独裁」(「日本共産党一党独裁」)は、旧ソ連や中国、北朝鮮のような、発達した議会制民主主義制度を経験したことのない諸国は別として、欧米・日本のような、政権交代可能な発達した議会制民主主義制度を経験した先進資本主義諸国では、労働者階級を含め、国民大多数の賛同は到底得られず適合しないことは明らかである。のみならず、理論的にも、日本共産党が金科玉条とするカール・マルクス著「資本論」の「資本主義が発達すればするほど労働者階級は貧しくなるため、資本家と労働者の階級闘争が激化し、社会主義革命は不可避である」との「窮乏化法則」が誤りであることも明らかである(「資本論第一巻24章7節資本主義的蓄積の歴史的傾向」参照)。なぜなら、欧米・日本などの先進資本主義諸国では、資本主義の発達とともに、福祉国家化が進み、年金・医療・介護・各種社会保険など社会保障制度が充実し、労働基準法などの労働者保護法制が整備され、労働者の名目賃金も年々上昇しているからである(2020年2月25~26日「百花斉放」掲載拙稿「窮乏化法則破綻が示す日本日本共産党の閉塞」参照)。
以上に述べた通り、日本共産党が立憲民主党に接近する理由には、同党の「統一戦線戦略」とともに、近年における日本共産党の顕著な党勢衰退がある。さらに、日本共産党が、常に自民党の補完勢力であると蔑視する日本維新の会に対する「改憲」等への危機感や、野党間における日本共産党の孤立と埋没もあると言えよう。反対に、立憲民主党が日本共産党と距離を置く理由は、与党側から「立憲共産党」などの反共攻撃を受け昨年の総選挙で敗北したことや、日本維新の会が大躍進し、今や世論調査等においても立憲の野党第一党としての地位を脅かす事態となっていることも大きい。それに加え、6年前に日本共産党と政策合意をした「安保法制廃止」が、その後の米中対立の激化や、尖閣危機、台湾危機などの安全保障環境の激変により、妥当性を欠く事態となっていることも無視できないであろう。
いずれにしても、政権獲得を目指す立憲民主党にとっては、自衛隊、日米同盟をはじめ、国民の大多数が安心して政権を任せるに足りる外交安全保障政策が必要不可欠であることは多言を要しない。その意味で、立憲民主党は、「自衛隊廃止」「安保条約廃棄」を党綱領四に明記する日本共産党とは、1億2000万の日本国民の命にかかわる外交安全保障政策において妥協の余地はないのである。
今後、立憲民主党が、保守層を含めて広く国民から圧倒的支持を集め、政権を獲得するためには、外交安全保障政策で妥協の余地がなく、そのうえ、時代錯誤の陳腐な「暴力革命」と「プロレタリア-ト独裁」を目指す「マルクス・レーニン主義」(「科学的社会主義」)に固執する日本共産党との共闘関係は解消すべきであり、それこそが立憲民主党の政権獲得への道であると確信する。(おわり)
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加藤 成一 2022-02-08 18:36
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加藤 成一 2022-02-09 00:33
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